俳句短歌2017-4〜2017-6

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<2017.6.29>
かぼちゃの葉 拡がるだけの 陰つくり
その声に 顔見合わせり 郭公鳴く
うぐいすや レンゲツツジの 華やぎに ときを惜しみて 枝から枝へ (道子)
朗らかに 笑う時あり 七十路の 妻は我と 同じ齢なる
汗流し ラーメン喰らう 夢を見て 目覚めし舌に 味が残れり

<2017.6.18>
蝉しぐれ 音を合わせる 鳥も夏
ぼうふらの いやいやしては こちら見る
からつゆの 芝生にゆれる ねじり花 生きのくりごと うなずき咲う (道子)
つつじ咲く 急坂登る重き足 二人のばばを 待つやうぐいす
青蛙 玄関サッシに 正座して 家を守れば 開けるもならず

<2017.5.28>
蛙の子 同じ姿の 親に乗る
煮たように 石楠花萎れて 色流る
掃除の日 ほうき片手に 立ち話 交わす消息 花の下陰 (道子)
ひとしきり 鳴きて休むも つばくらめ 雛ありてこそ 束の間のこと
玉ねぎを 収穫すれば 大小の まばらに生える 我は下手なり

<2017.5.28>
初咲きの 摘むをためらう 茄子の花
芍薬の 目立たぬ畑や 茄子育つ
老い重ね 巷の声も遠ざかり 内なる声に 問いつ問われつ(道子)
日摘みなる いちごの幾つ 妻と分け 酸甘き味の 十時の休み
蝶貝の 涙固める白波の にぶき光や 海に眠れや

<2017.5.21>
木菟の 木彫りのごとく 眠る昼
この年も 花咲かせし木 青葉燃ゆ
夕庭に いちご摘み取り 二つ三つ 夫目をほそめ 今日をねぎらう (道子)
春の日に 一衣一鍋の 賤屋にも 菜の花摘めば 夕餉明るし
だらしなく 生きる私と 過ぎる妻 割れればよきに そうはいかない

万里の長城,中国丹東

<2017.5.14>
板張りを 素足で歩き 春が行く
障害の 子らの太鼓や 初夏告げる
ひと仕事 終えてくつろぐ ぬれ縁に 夫と語れば つばくらめ飛ぶ  (道子)
ルバーブの ジャムを作れる 鍋のふち パンをちぎりて 妻とこそげば
明け暮れの けじめ守れる 野の花の 日毎の務め 思い鎮めて

Sather Tower, UC Berkley 

<2017.5.7>
野にありて 草に隠れる 月見草
石楠花の 明日や知らずに 今日を咲く
野良にいで ただ黙黙と 草取れば 心の憂い 地に跡かたもなく (道子)
タンポポの 綿毛開くを 見る妻に 久々浮かぶ 驚きの顔
息荒く 走りたき日の 焦りにも 花は開きて 静かなりけり

<2017.4.30>
手を合わせ 祈る姿や 鼓草
時々は 不思議おこれる 老いの春
電線に おしゃべりツバメの 独りごと 何やら楽し つつじ咲く庭 (道子)
上になり 下になりして 飛ぶ蝶に 夫婦なればと 妻我に告ぐ
待ってくれ 四捨五入の 年数え 数えたければ 九捨入なし

<2017.4.23>
桑の葉の 摘み取られずの 芽生えかな
二人して 木蓮までの 遠回り
意味もなく とりとめもなく 在りし日を 手繰りたぐりて 今日を確かむ  (道子)
夕日背に 妻が影伸び 地を走り 面白ければ 手など上げ見る
学び舎の 堅き椅子に ヘブライの 祈祷静かに 唱える深夜

<2017.4.16>
復活の 墓に向かうや 春の雨
小さくも 野を支配して 揚げ雲雀
白き蝶 付きつ離れつ 見え隠れ 卵いだきて キャベツに遊ぶ  (道子)
妻の句を 目を閉じ聞けば 夜の間の 心重なり 火花も散りて
花摘みの 小鳥や枝に せわしなく 狼藉許す 桜樹の胆

<2017.4.9>
馬鈴薯の 虎視眈々と 春の土
春の雨 暗渠に落ちる 水の音
雨止みて 庭草とれば 紫の香放ちて ヒヤシンス笑う  (道子)
城跡の 菫木陰に 隠れ咲き 手を添え眺む 少女のように
明日には 花摘み帰る いにしえの 我が野の菫 あまた残れる

<2017.4.2>
ひらひらと 胴吹き桜や 老いの舞
この方丈に 宇宙はありや 春の虫
亡き父母の 写真の位置を 少しかえ 一日伸ばしの 絵を描かんと思う  (道子)
汝(なれ)よりも わが忖度(そんたく)はまされると 妻の主張に うなずく忖度
つきまとう 思いを捨てる 屑籠を 開けば塵の 百花繚乱(りょうらん)

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