俳句短歌2018-4〜2018-6

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<2018.6.24>
ダイコンが そっと置かれる 牧師館
田植えする 牧師の畝の 直ならず
つゆ冷えの 低き雲間に 光さし 色あやなせる 額紫陽花 (道子)
紫陽花の 雨の降る中 花咲くを 見てこし 朝の祈り 静やか
今ならば 花がつくとふ 薬局の べコニヤさげて 妻帰宅せり

<2018.6.17>
説教を 脇で聞いてる 葱坊主
柳見て 堀見て近し 教会堂
朝あさな 窓にながむる つばくらめ 巣立ちてさみし 空の広がり(道子)
一輪車 朝げの汁の なすびとり 畑の帰路に 賛歌思いつ
しはぶきの 季節をこえて 息一つ 安らかならむ 今気づきしも

<2018.6.10>
わか芝の 芽吹くチャペルに 駆け込む子
ねじり花 寝てみるほどの 高さかな
うるものと 失うものと 共にきて われの齢は 深まりてゆく(道子)
妻と見る 電線のうえ 子つばめの はよ飛び立て よ見守りおれば
この年は メキシコ産の カボチャまく たいてうまきに 種とりおきて

<2018.6.3>
初夏や 讃美歌の声 衣替え
雀の子 芝踏み歩く チャペルかな
到来の 越生のふきを コトコトと 香れば背に 夫の気配す(道子)
馬鈴薯の 花摘みており 畑の中 露の雫の 濡れて光るも
父逝きし 年にいたりて 話したき ことありたるを 知りしこの頃

<2018.5.27>
あな嬉し 耶蘇が句を詠む 五旬節
種芋の 芽待ちわびる 日曜日
芍薬の 八重の花びら おもむろに 開けば蜂も 身をひそめおり(道子)
蕗つくる 妻の手黒く 染まれるを 水に洗うを 後ろに立てり
皮剥きて 二つに割れる 夏柑の 一房多く 吾は食いたり

<2018.5.20>
葱坊主 開かぬうちの 過保護かな
てふてふの 花摘み終わる 畑に咲く
雨はれて 野菜の芽立ち たしかめに 夫と野まわり 土けぶる中(道子)
棒組みて とまとの棚を 立ち上げて 妻と網張る あちらとこちら
われついに ごんべとなりて 種をまく からす従え 二人旅して

<2018.5.6>
散る花の 房を摘み取 る五月顏
たんぽぽの 綿毛の球に 恋をして
「あなた見て」 そっと差し出す手のひらの イチゴいただき 朝はこれから(道子)
本当は 庭のいちごが 食べてよと 知らせたきもの われにあらずも
ルバーヴの 茎の赤きを ねじりとる 躊躇いもなき 妻の手を見つ

<2018.4.29>
さえずりを 隠れて聞ける 妻ありて
くず米で 鳥呼び寄せる 窓の縁
つばくらめ 幾たび見んと 窓に立つ 何故か気になる あのひとりごと(道子)
階段を 妻の背を押し 上る夜の 老いては 二人並びて一人
晴れたれば 土耕し種植へる よき芋育てる 者になりたし

<2018.4.22>
揚げ雲雀 耳にて探す あのあたり
竹の子の 襟ぐりきつく 首に短し
幼より 手繰りてあまた 良き日々を とどめし利根に 友と菜をつむ(道子)
散策に 疲れて二人 植え込みに 浅く腰掛け 赤き陽を見る
さっきから 湯飲み茶碗の 飲み口を てんとう虫が 生真面目に這う

<2018.4.15>
花冷えや くしゃみ堪える コンサート
出遅れて よもぎ摘む人 散歩かな
花衣 おもいおもいの 色合わせ 髪もかざれる 桜木の下(道子)
しわしわの 長人参の入る 汁を すする音する 朝の静けさ
図書館の 自動ドアにキー向ける 何を開けと 言うのか我は

<2018.4.8>
春風に はばかりもなく 鴉鳴く
花便り きくも束の間 雪もよい 降るや否やと 厨に立てり(道子)
初つばめ 旅の終わりを 寿ぐと妻 その都度に 我に告げ来る
春菜茹で むすびを運ぶ 櫻木の 妻と私の 宴ござ敷く

<2018.4.1>
蔦の芽の 小さき葉にも 構えあり
寝転ぶに よき青さなり 芝生える
ネギをもち 久しき人を 訪う日ぐれ 会い見て交わす 安きひととき(道子)
そこにいる 本読む妻の いることを 知りつ確かむ いるということ
妻喉に 小骨ささりて 眉ひそむ 手出しかなわぬ 痛み刺さりて

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