山羊

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私はカナダで山羊の乳を飲んだことがあるのですが、独特の獣の匂いがして好きにはなれませんでした。 

「山羊」は古くから聖書に取り上げられる家畜です。でも、クリスチャンにとって羊とくらべると印象が相当に悪く感じられるのは飲みにくい乳ばかりの理由ではないようです。 

アザセルの山羊

旧約聖書には山羊は神への捧げもので、一年に一度、二匹の山羊をとり、くじを引いて、一匹を生贄とし、他の一匹を「アザセルの山羊 贖罪の山羊」として荒野に放ったのです。(レビ記16:5~10) 

「アザセル」の意味は諸説あって確かではありませんが、ユダヤ教では「追放された悪鬼、悪霊のかしら」と考えられています。 

英語で「スケープゴート scapegoat  生け贄のヤギ」という言葉は「アザゼルの山羊」から来たものです。 

中世ヨーロッパでは、「山羊」は悪魔と結びつけて考えられ、山羊の仮面を被る悪魔礼拝とか山羊に乗って空を飛ぶ魔女とか、ギリシャ神話の下半身が山羊の牧神パーンとか、とかく「山羊」にはよい印象が与えられていない。 

家畜としての山羊

山羊は遊牧民には、羊、牛、馬、駱駝とともに5つの家畜「五畜」の一つとして古くから飼育されていました。山羊は乾燥に強く、よく乳を出し、長い毛は天幕の布地などに使われました。 

ダビデがサウルから逃れてパランの荒野に入ったとき、カルメルのナバルという裕福な人に食糧を求めて断られたことがありますが、ナバルは「羊三千頭と山羊千頭」を所有しています。山羊は裕福な人々の財産でした。 

ちなみに、この事件をめぐってナバルは急死し、ナバルの賢い妻アビガイルはダビデの妻の一人になります。(Ⅰサムエル25章) 

聖書の山羊

聖書には「山羊」を意味することばがヘブライ語だけでも、「ゲディー」「ヤーエール」「エーズ」「アットード―」「ツアーヒール」「サーイ―ル」「タイシュ」と数多くあります。そのことからも山羊が重要な家畜であったことがわかります。 

山羊は食べることのできる清い家畜とされ(申命14:4)、神への捧げものとしても用いられました。(レビ3:12)。 

山羊肉は煮込みや焼肉として調理されます。山羊肉には独特の匂いがあり、匂い消しのための香辛料が工夫されます。 

山羊乳からはチーズやバターなどの乳製品がつくられています。人類が搾乳をはじめたのは山羊と考えられています。乳製品は山羊にはじまったのかもしれません。 

山羊の皮はあますところなく利用されました。皮から皮袋がつくられ水を運びました。アブラハムがハガルをその子とともに荒野に送り出す時に彼女に与えたのは山羊の皮でつくられた水の皮袋でした。(創世21:14) 

新しいぶどう酒は山羊の皮袋に入れて保存ました。 

山羊の毛は毛織物に利用され、神の幕屋にかける天幕は山羊の毛で作られています。(出エジプト26:7) 

山羊の毛は天幕の布や荒布の材料として最適でした。 

このように役に立つ山羊ですが、イスラエルでは肉も毛も良質な羊が山羊に代わって飼われるようになったのです。預言者五エレミヤは山羊について興味深いことばを伝えています。 

「わたしの民は、迷った羊の群れであった。その牧者が彼らを迷わせ、山々へ連れ去った。彼らは山から丘へ 

と行き巡って、休み場も忘れてしまった」 エレミヤ50:6 新改訳聖書 

山羊は羊よりも賢い家畜で、羊飼いたちは羊の群れの先頭に山羊をおき羊の群れを先導させたのです。しかし、イスラエルの民は賢い山羊を大切にせず、山羊より愚かな羊を重んじたというのです。

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