苦菜

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旧約聖書には、過越しの祭りのパンに「苦菜」を添えて食べることが定められています。(出エ12:8, 民数9:11)

「その夜、その肉を食べる。すなわち、それを火に焼いて、種を入れないパンと苦菜を添えて食べなければならない」 出エジプト12:8 新改訳聖書

「苦菜 マロリーム」は「苦味、苦いこと」を意味する言葉で「苦い物」と訳されます。

エジプト脱出の苦難を忘れないように祭りのさなかに食べることが定められた野菜です。

「苦菜」は一種類ではなく、ミシュナには、チサ、キクチサ、コショウグサ、ヘビノネ、タンポポの五種類の苦菜があげらえています。

「チサ」はキク科の一年草で、葉に苦みがあります。日本では古くから栽培されていたカキジシャと明治以後輸入されたタマジシャがあるそうです。レタスのような野菜です。漢字では「萵苣」と書きます。俳句では「春」の季語です。

「キクチサ」は明治以後に輸入されたレタスのことで、葉に苦みがあり、あまり好まれず、現代はほとんど栽培されていないそうです。紫の花をつけます。

「コショウグサ」はエンダイブのことで、葉に苦みのあるレタスです。若い株をサラダに利用します。

「ヘビノネ」は根が蛇に噛まれたときに利くとされる草だそうです。

「タンポポ」はお馴染みの野の草ですが、もともとは野菜として日本に輸入され栽培され、葉に苦みがありますが、茹でて水洗いすると苦みは少なくなります。根は漬物になります。道の駅などで「山ごぼうの味噌漬け」として売られているのは、モリアザミの根やごぼうの細い根を漬けたものだそうです。

ユダヤの過越しの祭りにはこれらの苦菜からどれかがパンに添えられたようです。

「苦菜」は出エジプトの苦難の象徴ですが、同時にエジプトの囚われからの解放を告げる喜びの祭りの食物でもあったのです。苦難からの解放の後に、いつまでも、苦難の時を忘れないで記念として祝う食事があっても良いと思います。

 「この日は、あなたがたにとって記念すべき日となる。あなたがたはこれを主への祭りとして祝い、代々守るべき永遠のおきてとしてこれを祝わなければならない」 出エジプト12:14 新改訳聖書

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