ヨハネによる福音書1章10節

ヨハネによる福音書
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Ⅰ 日本語訳聖書 Jn.1:10 

明治元訳 
Jn.1:10 かれ世にあり世は彼に造れたるに世これを識ず

大正文語訳 
Jn.1:10 彼は世にあり、世は彼に由りて成りたるに、世は彼を知らざりき

口語訳 
Jn.1:10 彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

Ⅱ 英語訳聖書  Jn.1:10

King James Version
1:10 He was in the world, and the world was made by him, and the world knew him not.

New King James Version 
1:10 He was in the world, and the world was made through Him, and the world did not know Him.

American Standard Version
1:10 He was in the world, and the world was made through him, and the world knew him not.

Bible in Basic English
1:10 He was in the world, the world which came into being through him, but the world had no knowledge of him.

Today’s English Version
1:10 The Word was in the world, and though God made the world through him, yet the world did not recognize him.

Darby’s English Translation
1:10 He was in the world, and the world had its being through him, and the world knew him not.

Douay Rheims
1:10 He was in the world, and the world was made by him, and the world knew him not.

Noah Webster Bible
1:10 He was in the world, and the world was made by him, and the world knew him not.

Weymouth New Testament
1:10 He was in the world, and the world came into existence through Him, and the world did not recognize Him.

World English Bible
1:10 He was in the world, and the world was made through him, and the world didn’t recognize him.

Young’s Literal Translation
1:10 in the world he was, and the world through him was made, and the world did not know him:

Ⅲ ギリシャ語聖書 Jn.1:10 

Stephens 1550 Textus Receptus
εν τω κοσμω ην και ο κοσμος δι αυτου εγενετο και ο κοσμος αυτον ουκ εγνω

Scrivener 1894 Textus Receptus
εν τω κοσμω ην και ο κοσμος δι αυτου εγενετο και ο κοσμος αυτον ουκ εγνω

Byzantine Majority
εν τω κοσμω ην και ο κοσμος δι αυτου εγενετο και ο κοσμος αυτον ουκ εγνω

Alexandrian
εν τω κοσμω ην και ο κοσμος δι αυτου εγενετο και ο κοσμος αυτον ουκ εγνω

Hort and Westcott
εν τω κοσμω ην και ο κοσμος δι αυτου εγενετο και ο κοσμος αυτον ουκ εγνω

† ギリシャ語聖書 Interlinear

ヨハネ1:10

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

ἐν  τῶ κόσμῳ   ἦν,      καὶ   ὁ   κόσμος   δι᾽       αὐτοῦ   ἐγένετο,
In  the world  he was ,  and  the  world   through   him    became,

καὶ   ὁ    κόσμος   αὐτὸν     οὐκ ἔγνω.
and  the  world     him     knew not,

Ⅴ ギリシャ語聖書 品詞色分け

Jn.1:10

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶκόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶκόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

Ⅵ ラテン語聖書 Jn.1:10 

Latin Vulgate
Jn.1:10

In mundo erat, et mundus per ipsum factus est, et mundus eum non cognovit.
He was in the world, and the world was made through him, and the world did not recognize him.

Ⅶ 私訳(詳訳)

私訳 「この方(ロゴス ことば)は世<秩序ある世界、この世>にあった。世<秩序ある世界、この世>はこの方(ロゴス ことば)によって成った<存在するに至った>。しかし、世<秩序ある世界、この世>はこの方(ロゴス ことば)を認めなかった<理解しなかった、知るに至らなかった>。」

Ⅷ 聖書引照 Jn.1:10 

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

[彼は世にいた]  ヨハ1:18; 5:17  創世11:6-9; 16:13; 17:1; 18:33  出エ3:4-6  使徒14:17; 17:24-27  ヘブ1:3
[そして、世は彼によってできたのであるが]  エレ10:11,12  ヘブ1:2; 11:3
[世は彼を知らずにいた]  ヨハ1:5; 17:25  マタ11:27  Ⅰコリ1:21; 2:8  Ⅰヨハ3:1

Ⅸ 新約聖書ギリシャ語語句研究

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

[〔ことばは〕世]  κόσμῳ  κόσμος  コスモス  kosmos {kos‘-mos }  G2889 (n-dm-s 名詞・与男単)

1)秩序ある世界、整然としていること、折り目正しさ、慎み深い、まっとうな 2)政治 3)飾り、美しさ、名誉、栄光 4)宇宙、天空、星 5)世界、この世

マタ4:8; 5:14; 18:7; 24:21; 25:34;  ルカ11:50; 12:30;  ヨハ1:9,10,29; 3:16,17,19; 4:42; 6:14,33,51; 7:4,7; 8:12,23,26; 9:5,39; 10:36; 11:9,27; 12:19,25,31,46,47; 13:1; 14:17,19,22,27,30,31; 15:18,19; 16:8,11,20,21,28,33; 17:5; 18:20,36,37 etc.

[に]  ἐν ἐν エン en {en}  G1722 (pd 前置詞・与)

1)~の中に、~の間に 2)~の上に 3)ところに、のそばに 4)で 3)よって 5)に

[あった]  ἦν εἰμί エイミ  eimi {i-mee‘}  G1510 (viia–3s 動詞・直未完能3単)

1)ある、いる、~である、~です、~だ 2)行われる、おこる、生ずる、現れる、来る 3)いる、滞在する、とどまる 4)存在する 5)生きている

[そして]  καὶ  καί カイ kai {kahee}  G2532 (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

[世は]  κόσμος  κόσμος  コスモス  kosmos {kos‘-mos }  G2889 (n-nm-s 名詞・主男単)

1)秩序ある世界、整然としていること、折り目正しさ、慎み深い、まっとうな 2)政治 3)飾り、美しさ、名誉、栄光 4)宇宙、天空、星 5)世界、この世

マタ4:8; 5:14; 18:7; 24:21; 25:34;  ルカ11:50; 12:30;  ヨハ1:9,10,29; 3:16,17,19; 4:42; 6:14,33,51; 7:4,7; 8:12,23,26; 9:5,39; 10:36; 11:9,27; 12:19,25,31,46,47; 13:1; 14:17,19,22,27,30,31; 15:18,19; 16:8,11,20,21,28,33; 17:5; 18:20,36,37 etc.

[言]  κόσμος  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  G846 (npgm3s 代名詞・属男3) 

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

[によって]  δι᾽ διά ディア dia {dee-ah‘}  G1223 (pg 前置詞・属)

1)~を通って、通り抜けて 2)~を通じて、~中ずっと、~の中に、~の中へと 3)~の故に 3)~のために、~の故に 4)~の間で 5)~を経て、~によって、~の後に

[成った]  ἐγένετο γίνομαι ギノマイ ginomai {ghin‘-om-ahee}  G1096 (viad–3s 動詞・直アオ能欠3単) 

1)存在するようになる、存在するにいたる、存在を始める 2)生じる、生ずる、生まれる 3)現れる、おこる、発生する、始まる、になる、ふりかかる、成る、登場する、来る 4)~とされる、仕上げられる、作られる、行われる、なされる 5)出る、起こる

マタ10:29; 13:5,8,23; 15:35; 23:35; 27:51;   マル4:8,20,26,28,31; 8:6; 9:20; 14:35;   ルカ13:7; 14:35; 22:44; 24:5;  ヨハ8:6,8: 12:24;  ヘブ6:7;  ヤコ5:5 etc.

[が]  καὶ  καί カイ kai {kahee}  G2532 (ch 接続詞・完)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

[世は]  κόσμος  κόσμος  コスモス  kosmos {kos‘-mos }  G2889 (n-nm-s 名詞・主男単)

1)秩序ある世界、整然としていること、折り目正しさ、慎み深い、まっとうな 2)政治 3)飾り、美しさ、名誉、栄光 4)宇宙、天空、星 5)世界、この世

マタ4:8; 5:14; 18:7; 24:21; 25:34;  ルカ11:50; 12:30;  ヨハ1:9,10,29; 3:16,17,19; 4:42; 6:14,33,51; 7:4,7; 8:12,23,26; 9:5,39; 10:36; 11:9,27; 12:19,25,31,46,47; 13:1; 14:17,19,22,27,30,31; 15:18,19; 16:8,11,20,21,28,33; 17:5; 18:20,36,37 etc.

[言を]  αὐτὸν αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  G846 (npam3s 代名詞・対男3)  

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

[認め]  ἔγνω γινώσκω ギノースコー  ginōskō {ghin-oce‘-ko}  G1097 (viaa–3s 動詞・直アオ能3単)

1)知る、認識する、理解する、知り合う、意識する、気づく、分かる、知るに至る、聞き知る、知覚する 2)~しようと考える、判断する 3)気づく、認識する、さとる 3)確かめる、つきとめる、推察する

マタ1:25; 10:26; 22:18;  マル5:43; 7:24; 9:30;  ルカ6:44; 18:34; 24:35;  ヨハ8:27,55; 10:6,15; 13:35; 16:3; 17:3,25;  ロマ1:21; 2:18; 11:34;  Ⅰコリ1:21; 2:16;  Ⅰヨハ2:3,4,14; 3:1,6; 4:8 etc.

[なかった]  οὐκ οὐ  ウー ou {oo}  G3756 (qn 不変化詞・否定)  

1)否 2)~ない 3)~でない

Ⅹ 細き聲 聖書研究ノート

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

<言は世にあった ἐν τῶ κόσμῳ ἦν,>

「あった ἦν」はεἰμί の直説法・未完完了能動態で動作、行為が過去において進行しつつある状態を示す。「ことば」は過去に於ける状態が現在も継続・反復されていることをあらわす。

<世は言によって成ったが καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο,>

「成った ἐγένετο」はγίνομαι の直説法・アオリスト能動態で、過去のある時に、ある事柄が起き、ある動作が行われた事実を示す。「世」は「ことば λόγος」によって現れ、始り、存在するにいたった。

<世は言を認めなかった καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.>

「世 κόσμος この世、世界」は「ことば λόγος」を「認めない οὐκ ἔγνω」は「認める γινώσκω ギノースコー 認識する、理解する、知り合う、意識する、気づく、分かる、知るに至る、聞き知る、知覚する」の意であり、「認めなかった οὐκ ἔγνω」は、「認める γινώσκω」の否定である。

Ⅺ 心のデボーション  

「彼は世にあり、世は彼に由りて成りたるに、世は彼を知らざりき」 ヨハネ1:10 大正文語訳聖書

「彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。」 口語訳聖書

 「識」

明治元訳聖書は「世は彼を知らずにいた」(口語訳聖書)を「世これを識ず」と訳す。「識」は仏教においては常に新しく生成する認識を意味する。聖書は「識」遂に届かぬところに神を認める。「知らない」と断じるところから神を知ることをはじめなければならない。

(心のデボーション2721)

心のデボーション  

「彼は世にあり、世は彼に由りて成りたるに、世は彼を知らざりき」 ヨハネ1:10 大正文語訳聖書

「彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。」 口語訳聖書

 「再び尋ねる」

The Word was in the world, and though God made the world through him, yet the world did not recognize him.(Today’s English Version)

「the world did not recognize him. 世は彼を知らずにいた」。Recognize の語源はラテン語「re 再び + cognosco 知る、認識する」から来ている。認識は、語られた御言葉を再び尋ねることに始まる。

(心のデボーション2730)

Ⅻ 聖書研究ノート その1

 「ヨブと光」

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

関連聖書 ヨハネ1:10 ヨブ24:1 ヨブ24:16-17 ヨブ30:26  ヨブ37:3,4,5 ヨブ37:23 

Ⅰ 暗黒の朝

ヨブ24:1 

מַדּ֗וּעַ מִ֭שַּׁדַּי לֹא־נִצְפְּנ֣וּ עִתִּ֑ים וידעו וְ֝יֹדְעָ֗יו לֹא־חָ֥זוּ יָמָֽיו

口語訳聖書

なにゆえ、全能者はさばきの時を定めておかれないのか。なにゆえ、彼を知る者がその日を見ないのか。ヨブヨブ24:16-17 

חָתַ֥ר בַּחֹ֗שֶׁךְ בָּ֫תִּ֥ים יוֹמָ֥ם חִתְּמוּ־לָ֗מוֹ לֹא־יָ֥דְעוּ אֽוֹר
כִּ֤י יַחְדָּ֨ו׀ בֹּ֣קֶר לָ֣מוֹ צַלְמָ֑וֶת כִּֽי־יַ֝כִּ֗יר בַּלְה֥וֹת צַלְמָֽוֶת

口語訳聖書

彼らは暗やみで家をうがち、昼は閉じこもって光を知らない彼らには暗黒は朝である。彼らは暗黒の恐れを友とするからだ。

ヨブ30:26 

כִּ֤י ט֣וֹב קִ֭וִּיתִי וַיָּ֣בֹא רָ֑ע וַֽאֲיַחֲלָ֥ה לְ֝א֗וֹר וַיָּ֥בֹא אֹֽפֶל

口語訳聖書

しかしわたしが幸を望んだのに災が来た。光を待ち望んだのにやみが来た。

ヨブは苦しみの夜を過ごし、暗黒の朝を迎える。「昼は閉じこもって、光を知らない」(ヨブ24:16) 「私は幸いを望んだのに、災いがやって来た。/光を待っていたのに、闇がやって来た」、何故、全能者を知る者が「その日〔光〕を見ることができないのか」と問う。(ヨブ24:1,26)

Ⅱ 神の光

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

ヨブ37:3 

תַּֽחַת־כָּל־הַשָּׁמַ֥יִם יִשְׁרֵ֑הוּ וְ֝אוֹר֗וֹ עַל־כַּנְפ֥וֹת הָאָֽרֶץ

口語訳聖書

彼はこれを天が下に放ち、/その光を地のすみずみまで至らせられる。

ヨブ37:4 

אַחֲרָ֤יו׀ יִשְׁאַג־ק֗וֹל יַ֭רְעֵם בְּק֣וֹל גְּאוֹנ֑וֹ וְלֹ֥א יְ֝עַקְּבֵ֗ם כִּֽי־יִשָּׁמַ֥ע קוֹלֽוֹ

口語訳聖書

その後、声とどろき、/彼はそのいかめしい声をもって鳴り渡られる。その声の聞える時、/彼はいなずまを引きとめられない。

ヨブ37:5 

יַרְעֵ֤ם אֵ֣ל בְּ֭קוֹלוֹ נִפְלָא֑וֹת עֹשֶׂ֥ה גְ֝דֹל֗וֹת וְלֹ֣א נֵדָֽע

口語訳聖書

神はその驚くべき声をもって鳴り渡り、/われわれの悟りえない大いなる事を行われる。

ヨブ37:5 

יַרְעֵ֤ם אֵ֣ל בְּ֭קוֹלוֹ נִפְלָא֑וֹת עֹשֶׂ֥ה גְ֝דֹל֗וֹת וְלֹ֣א נֵדָֽע

口語訳聖書

神はその驚くべき声をもって鳴り渡り、/われわれの悟りえない大いなる事を行われる。

ヨブ37:16 

הֲ֭תֵדַע עַל־מִפְלְשֵׂי־עָ֑ב מִ֝פְלְא֗וֹת תְּמִ֣ים דֵּעִֽים

口語訳聖書

あなたは知っているか、雲のつりあいと、/知識の全き者のくすしきみわざを。

ヨブの問いに、ヨハネ福音書は「ことばは世にあり、世はことばによって成る」(ヨハネ1:10)と答える。「神は天の下にそれ〔光、ことば〕を放ち/その稲妻は地の果てに及ぶ」(ヨブ37:3)、その「光、ことば」は地に「響き」、「神は厳かな声をとどろかせ」(ヨブ37:4)、「私たちが知りえない偉大な業を行う」(ヨブ37:5)。ヨブよ、「あなたは〔それを〕知っているか?」。(ヨブ37:16)聖書協会共同訳聖書

Ⅲ 驚くべき御業

ヨブ37:23 

שַׁדַּ֣י לֹֽא־מְ֭צָאנֻהוּ שַׂגִּיא־כֹ֑חַ וּמִשְׁפָּ֥ט וְרֹב־צְ֝דָקָ֗ה לֹ֣א יְעַנֶּֽה

口語訳聖書

全能者は――/われわれはこれを見いだすことができない。彼は力と公義とにすぐれ、/正義に満ちて、これを曲げることはない。

神は地に光を放ち、ことばをもって地を創造され、人の知り得ない驚くべき「偉大な業」をなされる。人は神のすべてを見出すことはできない。ただ、神が「力と公正に優れ/正義に満ち、苦しめることを」なさらないと知るのである。(ヨブ37:23)

聖書研究ノート その2

 「創造の主」

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

聖書協会共同訳聖書

言は世にあった。世は言によって成ったが、世は言を認めなかった。

関連聖書 ヨハネ1:10 ヨハネ5:17 使徒14:17 使徒17:26 使徒17:27 ヘブル1:3 ヨハネ5:17  

Ⅰ 創造の主

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

ヨハネ5:17 

ὁ δὲ [ἰησοῦς] ἀπεκρίνατο αὐτοῖς, ὁ πατήρ μου ἕως ἄρτι ἐργάζεται, κἀγὼ ἐργάζομαι.

口語訳聖書

そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。

「言は世にあった。」(ヨハネ1:10 新共同訳聖聖書) 創造のはじめてに、「ロゴス λόγος(ことば)」があり、「ロゴス λόγος(ことば)」は神と共にあり、「ロゴス λόγος(ことば)」は神であった。すべてのものは「ロゴス λόγος(ことば)」によってつくられた。「ロゴス λόγος(ことば)」の内にいのちがあり、いのちは人間を照らす光であった。(ヨハネ1:1-5)創造の神は働き、行動し続ける「ロゴス λόγος(ことば)」である。

Ⅱ 神の証し

使徒14:17 

καίτοι οὐκ ἀμάρτυρον αὐτὸν ἀφῆκεν ἀγαθουργῶν, οὐρανόθεν ὑμῖν ὑετοὺς διδοὺς καὶ καιροὺς καρποφόρους, ἐμπιπλῶν τροφῆς καὶ εὐφροσύνης τὰς καρδίας ὑμῶν.

口語訳聖書

それでも、ご自分のことをあかししないでおられたわけではない。すなわち、あなたがたのために天から雨を降らせ、実りの季節を与え、食物と喜びとで、あなたがたの心を満たすなど、いろいろのめぐみをお与えになっているのである」。

使徒17:26 

ἐποίησέν τε ἐξ ἑνὸς πᾶν ἔθνος ἀνθρώπων κατοικεῖν ἐπὶ παντὸς προσώπου τῆς γῆς, ὁρίσας προστεταγμένους καιροὺς καὶ τὰς ὁροθεσίας τῆς κατοικίας αὐτῶν,

口語訳聖書

また、ひとりの人から、あらゆる民族を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに時代を区分し、国土の境界を定めて下さったのである。

創造の神は「ロゴス λόγος(ことば)」として働き、行動され、「御自分のことを証し」しないではおられない。天からの雨、実りの季節の入れ替わり、食物の実りなど、すべては「神の証し」である。神は人を創造し、民とし、地に住居を与え、地の境を定められ、これを祝福される。(創世1:28; 使徒14:1; 使徒17:26) 人間の生のいとなみが神を証しする。

Ⅲ 御子イエス・キリスト

使徒17:27 

ζητεῖν τὸν θεὸν εἰ ἄρα γε ψηλαφήσειαν αὐτὸν καὶ εὕροιεν, καί γε οὐ μακρὰν ἀπὸ ἑνὸς ἑκάστου ἡμῶν ὑπάρχοντα.

口語訳聖書

こうして、人々が熱心に追い求めて捜しさえすれば、神を見いだせるようにして下さった。事実、神はわれわれひとりびとりから遠く離れておいでになるのではない。

ヘブル1:3

ὃς ὢν ἀπαύγασμα τῆς δόξης καὶ χαρακτὴρ τῆς ὑποστάσεως αὐτοῦ, φέρων τε τὰ πάντα τῶ ῥήματι τῆς δυνάμεως αὐτοῦ, καθαρισμὸν τῶν ἁμαρτιῶν ποιησάμενος ἐκάθισεν ἐν δεξιᾷ τῆς μεγαλωσύνης ἐν ὑψηλοῖς,

口語訳聖書

御子は神の栄光の輝きであり、神の本質の真の姿であって、その力ある言葉をもって万物を保っておられる。そして罪のきよめ

ヨハネ5:17 

ὁ δὲ [ἰησοῦς] ἀπεκρίνατο αὐτοῖς, ὁ πατήρ μου ἕως ἄρτι ἐργάζεται, κἀγὼ ἐργάζομαι.

口語訳聖書

そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。

神の証しは御子イエス・キリストに完全にあらわれる。御子は、「神の栄光の反映であり、神の本質の完全な現れであって」、「万物を御自分の力ある言葉によって支えておられ」、「人々の罪を清めら」、「天の高い所におられる大いなる方の右の座にお着きに」なられる。(ヘブル1:3 新共同訳聖書) 父なる神は今もなお働いておられるゆえに、御子イエス・キリストも「働かれる」のである。(ヨハネ5:17) 神と御子の御働きにより、人は神を求め、「探し求めさえすれば、神を見いだすことができる」。神は「ロゴス λόγος(ことば)」なるイエス・キリストにおいて「わたしたち一人一人から遠く離れてはおられません」。(使徒17:27 新共同訳聖書)

† 聖書研究ノート その3

 「バベルの塔とアブラハム」

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

関連聖書 ヨハネ1:10 創世11:5~9 創世17:1 創世18:33

Ⅰ 言は世にあった

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

創造のはじめに神と共にあった「ロゴス λόγος(ことば)」は、人間を照らす光として歴史を形成した。旧約聖書は神の「ロゴス λόγος(ことば)」の記録である。

Ⅱ バベルの塔

創世11:5-9 

וַיֵּ֣רֶד יְהוָ֔ה לִרְאֹ֥ת אֶת־הָעִ֖יר וְאֶת־הַמִּגְדָּ֑ל אֲשֶׁ֥ר בָּנ֖וּ בְּנֵ֥י הָאָדָֽם
יֹּ֣אמֶר יְהוָ֗ה הֵ֣ן עַ֤ם אֶחָד֙ וְשָׂפָ֤ה אַחַת֙ לְכֻלָּ֔ם וְזֶ֖ה הַחִלָּ֣ם לַעֲשֹׂ֑ות וְעַתָּה֙ לֹֽא־יִבָּצֵ֣ר מֵהֶ֔ם כֹּ֛ל אֲשֶׁ֥ר יָזְמ֖וּ לַֽעֲשֹֽׂות
הָ֚בָה נֵֽרְדָ֔ה וְנָבְלָ֥ה שָׁ֖ם שְׂפָתָ֑ם אֲשֶׁר֙ לֹ֣א יִשְׁמְע֔וּ אִ֖ישׁ שְׂפַ֥ת רֵעֵֽהוּ
וַיָּ֨פֶץ יְהוָ֥ה אֹתָ֛ם מִשָּׁ֖ם עַל־פְּנֵ֣י כָל־הָאָ֑רֶץ וַֽיַּחְדְּל֖וּ לִבְנֹ֥ת הָעִֽיר
עַל־כֵּ֞ן קָרָ֤א שְׁמָהּ֙ בָּבֶ֔ל כִּי־שָׁ֛ם בָּלַ֥ל יְהוָ֖ה שְׂפַ֣ת כָּל־הָאָ֑רֶץ וּמִשָּׁם֙ הֱפִיצָ֣ם יְהוָ֔ה עַל־פְּנֵ֖י כָּל־הָאָֽרֶץ

口語訳聖書

時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔とを見て、 言われた、「民は一つで、みな同じ言葉である。彼らはすでにこの事をしはじめた。彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう。 さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。 こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。 これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。主はそこから彼らを全地のおもてに散らされた。 

ノアの洪水の後、ノアの子孫は全地に広がっていった。その頃、全地は「一つの民、一つの言葉」であった。民は平地に定住し、「散らされないように」一つの塔を建て、天に届こうとした。そこで神は人の「言葉を乱され」、「互いの言葉が聞き分けられぬように」された。そのため塔の建設は中止され、人々は全地に散らされ、塔は「バベル(混乱)の塔」と呼ばれた。(創世11:1-9)

神の「ロゴス λόγος(ことば)」は地に雨を降らせ、実りをもたらし、人に喜びを与える祝福の恵みである。「ロゴス λόγος(ことば)」は神のあらわれであった。しかし、人は「ロゴス λόγος(ことば)」をもって塔を建設し、天に届こうとする。

創世記の「バベルの塔のことばの混乱」は言語の多様性の物語ではない。言語の本質にかかわる物語である。神は彼らの「ロゴス λόγος(ことば)」に混乱を与え、「ロゴス λόγος(ことば)」の秘儀を人から隠されたのである。

Ⅲ アブラハムの召し

創世17:1 

וַיְהִ֣י אַבְרָ֔ם בֶּן־תִּשְׁעִ֥ים שָׁנָ֖ה וְתֵ֣שַׁע שָׁנִ֑ים וַיֵּרָ֨א יְהוָ֜ה אֶל־אַבְרָ֗ם וַיֹּ֤אמֶר אֵלָיו֙ אֲנִי־אֵ֣ל שַׁדַּ֔י הִתְהַלֵּ֥ךְ לְפָנַ֖י וֶהְיֵ֥ה תָמִֽים

新共同訳聖書

アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。

創世18:33 

וַיֵּ֣לֶךְ יְהוָ֔ה כַּאֲשֶׁ֣ר כִּלָּ֔ה לְדַבֵּ֖ר אֶל־אַבְרָהָ֑ם וְאַבְרָהָ֖ם שָׁ֥ב לִמְקֹמֹֽו

口語訳聖書

アブラムの九十九歳の時、主はアブラムに現れて言われた、/「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前に歩み、全き者であれ。

創世記は11章の「バベルの塔」から12章「アブラハムの生涯」に続く。「ロゴス λόγος(ことば)」の混乱の中でも文明は栄える。カルデヤの都ウルでアブラハムは神の「ロゴス λόγος(ことば)」を聞き、「主のみ告げ」の通りに出発する。(創世12:1-4) カナンに導かれたアブラハムに神は「全能の神」として自らをあらわされ、「盾」となられてアブラハムを祝福し、(創世15:1-7) アブラハムから「おびただしい祝福の子ら」が生まれ、「多くの国民の父」となると契約を結ばれた。(創世17:1-22)

「言は世にあった」(ヨハネ1:10)。旧約聖書は全編をもって、その事実を伝える。耳ある者は聞き、目ある者は見ることができる。しかし、神によらなければ、人は見ることも、聞くこともできない。

† 聖書研究ノート その4

 「燃える柴」

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

関連聖書 ヨハネ1:10 出エジプト3:4 出エジプト3:5 出エジプト3:6 出エジプト13:21

Ⅰ 言は世にあった

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

バベルの塔によって、神は人のことばを乱された。人は「ロゴス λόγος(ことば)」の本質的な意味と業を見失ったが、「ロゴス λόγος(ことば)」は人を照らし続け、アブラハムを導き、モーセに現れ、イエス・キリストとして世に来られたのである。

Ⅱ 燃える柴

出エジプト3:4 

וַיַּ֥רְא יְהוָ֖ה כִּ֣י סָ֣ר לִרְא֑וֹת וַיִּקְרָא֩ אֵלָ֨יו אֱלֹהִ֜ים מִתּ֣וֹךְ הַסְּנֶ֗ה וַיֹּ֛אמֶר מֹשֶׁ֥ה מֹשֶׁ֖ה וַיֹּ֥אמֶר הִנֵּֽנִי

口語訳聖書

主は彼がきて見定めようとするのを見、神はしばの中から彼を呼んで、「モーセよ、モーセよ」と言われた。彼は「ここにいます」と言った。

出エジプト3:5 

וַיֹּ֖אמֶר אַל־תִּקְרַ֣ב הֲלֹ֑ם שַׁל־נְעָלֶ֙יךָ֙ מֵעַ֣ל רַגְלֶ֔יךָ כִּ֣י הַמָּק֗וֹם אֲשֶׁ֤ר אַתָּה֙ עוֹמֵ֣ד עָלָ֔יו אַדְמַת־קֹ֖דֶשׁ הֽוּא

口語訳聖書

神は言われた、「ここに近づいてはいけない。足からくつを脱ぎなさい。あなたが立っているその場所は聖なる地だからである」。

モーセは神の山ホレブで柴の中の火の炎の中に主の御使いが現れるのを見た。火は燃えていたが柴は焼けていなかった。神は「燃える柴」の中から「モーセよ、モーセよ」と、モーセに語られ、足からは着物を脱ぐようにと命じられた。(出エジプト3:1-6)

Ⅲ アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神

出エジプト3:6 

וַיֹּ֗אמֶר אָנֹכִי֙ אֱלֹהֵ֣י אָבִ֔יךָ אֱלֹהֵ֧י אַבְרָהָ֛ם אֱלֹהֵ֥י יִצְחָ֖ק וֵאלֹהֵ֣י יַעֲקֹ֑ב וַיַּסְתֵּ֤ר מֹשֶׁה֙ פָּנָ֔יו כִּ֣י יָרֵ֔א מֵהַבִּ֖יט אֶל־הָאֱלֹהִֽים

口語訳聖書

また言われた、「わたしは、あなたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」。モーセは神を見ることを恐れたので顔を隠した。

神は「燃える柴」(光)の中におられ、モーセに「わたしはあなたの父の神である。アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」と仰せられた。アブラハムに「ロゴス λόγος(ことば)」をもって現れた神は、「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」であり、それぞれに臨在を現わされ、「汝の神」として御自身を啓示され、モーセに現れ、信じる者の前に現れて給う神である。

Ⅳ 雲の柱、火の柱

出エジプト13:21 

ַֽיהוָ֡ה הֹלֵךְ֩ לִפְנֵיהֶ֨ם יוֹמָ֜ם בְּעַמּ֤וּד עָנָן֙ לַנְחֹתָ֣ם הַדֶּ֔רֶךְ וְלַ֛יְלָה בְּעַמּ֥וּד אֵ֖שׁ לְהָאִ֣יר לָהֶ֑ם לָלֶ֖כֶת יוֹמָ֥ם וָלָֽיְלָה

口語訳聖書

主は彼らの前に行かれ、昼は雲の柱をもって彼らを導き、夜は火の柱をもって彼らを照し、昼も夜も彼らを進み行かせられた。

モーセに導かれてエジプトを脱出したイスラエルの民を、神は昼は「雲の柱」、夜は「火の柱」をもって彼らを照らされ、約束の地カナンに導かれた。

† 聖書研究ノート その5

「天地の主」

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

関連聖書 ヨハネ1:10 使徒17:24~27 使徒14:17 コロサイ3:16 ヘブル4:12

Ⅰ ことばは世にあった

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

神は「ロゴス λόγος(ことば)」をもって天と地を創造された。「ロゴス λόγος(ことば)」は「天地の主」である。

Ⅱ 天地の主

使徒17:24-27

ὁ θεὸς ὁ ποιήσας τὸν κόσμον καὶ πάντα τὰ ἐν αὐτῶ, οὖτος οὐρανοῦ καὶ γῆς ὑπάρχων κύριος οὐκ ἐν χειροποιήτοις ναοῖς κατοικεῖ οὐδὲ ὑπὸ χειρῶν ἀνθρωπίνων θεραπεύεται προσδεόμενός τινος, αὐτὸς διδοὺς πᾶσι ζωὴν καὶ πνοὴν καὶ τὰ πάντα· ἐποίησέν τε ἐξ ἑνὸς πᾶν ἔθνος ἀνθρώπων κατοικεῖν ἐπὶ παντὸς προσώπου τῆς γῆς, ὁρίσας προστεταγμένους καιροὺς καὶ τὰς ὁροθεσίας τῆς κατοικίας αὐτῶν, ζητεῖν τὸν θεὸν εἰ ἄρα γε ψηλαφήσειαν αὐτὸν καὶ εὕροιεν, καί γε οὐ μακρὰν ἀπὸ ἑνὸς ἑκάστου ἡμῶν ὑπάρχοντα.

新共同訳聖書

この世界と、その中にある万物とを造った神は、天地の主であるのだから、手で造った宮などにはお住みにならない。 また、何か不足でもしておるかのように、人の手によって仕えられる必要もない。神は、すべての人々に命と息と万物とを与え、 また、ひとりの人から、あらゆる民族を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに時代を区分し、国土の境界を定めて下さったのである。 こうして、人々が熱心に追い求めて捜しさえすれば、神を見いだせるようにして下さった。事実、神はわれわれひとりびとりから遠く離れておいでになるのではない。 

使徒14:17 

καίτοι οὐκ ἀμάρτυρον αὐτὸν ἀφῆκεν ἀγαθουργῶν, οὐρανόθεν ὑμῖν ὑετοὺς διδοὺς καὶ καιροὺς καρποφόρους, ἐμπιπλῶν τροφῆς καὶ εὐφροσύνης τὰς καρδίας ὑμῶν.

口語訳聖書

それでも、ご自分のことをあかししないでおられたわけではない。すなわち、あなたがたのために天から雨を降らせ、実りの季節を与え、食物と喜びとで、あなたがたの心を満たすなど、いろいろのめぐみをお与えになっているのである」。

天と地を創造された神は、人が建設した「神殿」などには住まわれず、人の「奉仕」を必要ともされない。神の「ロゴス λόγος(ことば)」は「すべての人に命と息と、その他すべてのものを与えて」くださり、「一人の人からすべての民族を造り出して、地上の至るところに住まわせ、季節を決め、彼らの居住地の境界をお決めに」なられる。それは、人が「神」を求めるためであり、求めるならば「神を見出す」ことができるためである。(使徒17:24-27 使徒14:17)

Ⅲ キリストのことば

コロサイ3:16 

ὁ λόγος τοῦ χριστοῦ ἐνοικείτω ἐν ὑμῖν πλουσίως, ἐν πάσῃ σοφίᾳ διδάσκοντες καὶ νουθετοῦντες ἑαυτοὺς ψαλμοῖς, ὕμνοις, ᾠδαῖς πνευματικαῖς ἐν [τῇ] χάριτι ᾄδοντες ἐν ταῖς καρδίαις ὑμῶν τῶ θεῶ·

口語訳聖書

キリストの言葉を、あなたがたのうちに豊かに宿らせなさい。そして、知恵をつくして互に教えまた訓戒し、詩とさんびと霊の歌とによって、感謝して心から神をほめたたえなさい。

ヘブル4:12 

ζῶν γὰρ ὁ λόγος τοῦ θεοῦ καὶ ἐνεργὴς καὶ τομώτερος ὑπὲρ πᾶσαν μάχαιραν δίστομον καὶ διϊκνούμενος ἄχρι μερισμοῦ ψυχῆς καὶ πνεύματος, ἁρμῶν τε καὶ μυελῶν, καὶ κριτικὸς ἐνθυμήσεων καὶ ἐννοιῶν καρδίας·

新共同訳聖書

口語訳聖書

というのは、神の言は生きていて、力があり、もろ刃のつるぎよりも鋭くて、精神と霊魂と、関節と骨髄とを切り離すまでに刺しとおして、心の思いと志とを見分けることができる。

礼拝は内に宿り給う「ロゴス λόγος(ことば)」による。神の「ロゴス λόγος(ことば)」は生きており、力をもち、人の心と魂と霊を見通し、正しく導かれる。すべてのものは「ロゴス λόγος(ことば)」によって創られ、「ロゴス λόγος(ことば)」によって成る。

† 聖書研究ノート その6

 「世はことばによって成った」

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

関連聖書 ヨハネ1:10 エレミヤ10:11~12 ヘブル1:2 ヘブル11:3 マタイ13:19 黙示13:9 

Ⅰ 世はことばによって成った

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

エレミヤ10:11-12 

ִּדְנָה֙ תֵּאמְר֣וּן לְה֔וֹם אֱלָ֣הַיָּ֔א דִּֽי־שְׁמַיָּ֥א וְאַרְקָ֖א לָ֣א עֲבַ֑דוּ יֵאבַ֧דוּ מֵֽאַרְעָ֛א וּמִן־תְּח֥וֹת שְׁמַיָּ֖א אֵֽלֶּה
עֹשֵׂ֥ה אֶ֙רֶץ֙ בְּכֹח֔וֹ מֵכִ֥ין תֵּבֵ֖ל בְּחָכְמָת֑וֹ וּבִתְבוּנָת֖וֹ נָטָ֥ה שָׁמָֽיִם

口語訳聖書

あなたがたは彼らに、こう言わなければならない、「天地を造らなかった神々は地の上、天の下から滅び去る」と。 主はその力をもって地を造り、その知恵をもって世界を建て、その悟りをもって天をのべられた。

世は「ロゴス λόγος(ことば)」によって成った。すべてのものは「ロゴス λόγος(ことば)」によって創られ、「ロゴス λόγος(ことば)」によらずに成ったものは一つもなかった。(ヨハネ1:1~3) 神は「御力をもって大地を造り」、「知恵をもって世界を固く据え」、「英知をもって天を広げられ」る。(エレミヤ10:12 新共同訳聖書)

神は、「口も利けず/歩けないので、―災いをくだすことも/幸いをもたらすこともできない」、「きゅうり畑のかかし」ではない。(エレミヤ10:5)

Ⅱ 語り給う神

ヘブル1:2

ἐπ᾽ ἐσχάτου τῶν ἡμερῶν τούτων ἐλάλησεν ἡμῖν ἐν υἱῶ, ὃν ἔθηκεν κληρονόμον πάντων, δι᾽ οὖ καὶ ἐποίησεν τοὺς αἰῶνας·

口語訳聖書

この終りの時には、御子によって、わたしたちに語られたのである。神は御子を万物の相続者と定め、また、御子によって、もろもろの世界を造られた。

天と地を創造した「ロゴス λόγος(ことば)」は、創られたすべての者に御子「ロゴス λόγος」によって語られる。人は御子「ロゴス λόγος」によって天と地が「ロゴス λόγος」によって創られたと知る。

Ⅲ 耳ある者は、聞け

ヘブル11:3 

πίστει νοοῦμεν κατηρτίσθαι τοὺς αἰῶνας ῥήματι θεοῦ, εἰς τὸ μὴ ἐκ φαινομένων τὸ βλεπόμενον γεγονέναι.

Heb 11:3 信仰によって、わたしたちは、この世界が神の言葉で造られたのであり、したがって、見えるものは現れているものから出てきたのでないことを、悟るのである。

マタイ13:19 

παντὸς ἀκούοντος τὸν λόγον τῆς βασιλείας καὶ μὴ συνιέντος, ἔρχεται ὁ πονηρὸς καὶ ἁρπάζει τὸ ἐσπαρμένον ἐν τῇ καρδίᾳ αὐτοῦ· οὖτός ἐστιν ὁ παρὰ τὴν ὁδὸν σπαρείς.

口語訳聖書

だれでも御国の言を聞いて悟らないならば、悪い者がきて、その人の心にまかれたものを奪いとって行く。道ばたにまかれたものというのは、そういう人のことである。

人は自身の存在が神の「ロゴス λόγος(ことば)」によって成ることを、信仰によって知る。信仰とは「聞く耳」をもって「ロゴス λόγος(ことば)」に聞き、目で見て悟ることである。(ヘブル5:11)

黙示13:9 

εἴ τις ἔχει οὗς ἀκουσάτω.

口語訳聖書

耳のある者は、聞くがよい。

† 聖書研究ノート その7 

 「世は言を認めなかった」

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

関連聖書 ヨハネ1:10 ヨハネ1:5 Ⅰコリント2:8 ヨハネ17:25 マタイ11:27 Ⅰコリント1:21 Ⅰコリント1:23-24

Ⅰ 世は言を認めなかった

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

口語訳聖書

彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

「世 κόσμος この世、世界」は「ことば λόγος」を「認めない οὐκ ἔγνω」は「認める γινώσκω ギノースコー 認識する、理解する、知り合う、意識する、気づく、分かる、知るに至る、聞き知る、知覚する」の意であり、「認めなかった οὐκ ἔγνω」は、「認める γινώσκω」の否定である。暗闇は光を「理解しなかった」。「理解καταλαμβάνω カタらㇺバノー」は「捕らえる、自分のものにする」の意で、闇は光を「捕らえる、自分のものにする」ことができない。

Ⅱ 神は世に「ロゴス λόγος(ことば)」を遣わされた

Ⅰコリント2:8 

ἣν οὐδεὶς τῶν ἀρχόντων τοῦ αἰῶνος τούτου ἔγνωκεν, εἰ γὰρ ἔγνωσαν, οὐκ ἂν τὸν κύριον τῆς δόξης ἐσταύρωσαν.

口語訳聖書

この世の支配者たちのうちで、この知恵を知っていた者は、ひとりもいなかった。もし知っていたなら、栄光の主を十字架につけはしなかったであろう。

ヨハネ17:25 

πάτερ δίκαιε, καὶ ὁ κόσμος σε οὐκ ἔγνω, ἐγὼ δέ σε ἔγνων, καὶ οὖτοι ἔγνωσαν ὅτι σύ με ἀπέστειλας,

口語訳聖書

正しい父よ、この世はあなたを知っていません。しかし、わたしはあなたを知り、また彼らも、あなたがわたしをおつかわしになったことを知っています。

マタイ11:27 

Πάντα μοι παρεδόθη ὑπὸ τοῦ πατρός μου, καὶ οὐδεὶς ἐπιγινώσκει τὸν υἱὸν εἰ μὴ ὁ πατήρ, οὐδὲ τὸν πατέρα τις ἐπιγινώσκει εἰ μὴ ὁ υἱὸς καὶ ὧ ἐὰν βούληται ὁ υἱὸς ἀποκαλύψαι.

口語訳聖書

すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子を知る者は父のほかにはなく、父を知る者は、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほかに、だれもありません。

世は「ロゴス λόγος(ことば)」をとらえ、自分のものとして理解することは出来なかったが、神は人間をつぶさに知っておられ、この世に「ロゴス λόγος(ことば)」を遣わされた。{ロゴス λόγος(ことば)」によって世が父なる神を知る(とらえる、自分のものとする)ためである。御子によらずに人は父なる神を知らない。

Ⅲ 宣教という「愚かな手段」によって

Ⅰコリント1:21 

ἐπειδὴ γὰρ ἐν τῇ σοφίᾳ τοῦ θεοῦ οὐκ ἔγνω ὁ κόσμος διὰ τῆς σοφίας τὸν θεόν, εὐδόκησεν ὁ θεὸς διὰ τῆς μωρίας τοῦ κηρύγματος σῶσαι τοὺς πιστεύοντας.

口語訳聖書

この世は、自分の知恵によって神を認めるに至らなかった。それは、神の知恵にかなっている。そこで神は、宣教の愚かさによって、信じる者を救うこととされたのである。

Ⅰコリント1:23-24 

ἡμεῖς δὲ κηρύσσομεν χριστὸν ἐσταυρωμένον, ἰουδαίοις μὲν σκάνδαλον ἔθνεσιν δὲ μωρίαν,αὐτοῖς δὲ τοῖς κλητοῖς, ἰουδαίοις τε καὶ ἕλλησιν, χριστὸν θεοῦ δύναμιν καὶ θεοῦ σοφίαν·

口語訳聖書

しかしわたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝える。このキリストは、ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものであるが、 召された者自身にとっては、ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神の力、神の知恵たるキリストなのである。 

世は己が知識によって神を知ることはできなかったが、神は言葉の宣教という「愚かな手段」によって信じる者を救われる。異邦人が愚かとして退けた「ロゴス λόγος(ことば)」は信じる者には「神の力、神の知恵」であり、人が退けた「ロゴス λόγος(ことば)」の宣教によって人を救われることは「神の知恵」にかなうことであった。

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