ヨハネによる福音書1章8節

ヨハネによる福音書
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Ⅰ 日本語訳聖書 Jn.1:8

【明治元訳】
Jn.1:8 彼は光に非(あら)ず光に就て證を作(なさ)ん爲|ために來れり

【大正文語訳】
Jn.1:8 彼は光にあらず、光に就きて證せん爲に來れるなり。

【口語訳】
Jn.1:8 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

Ⅱ 英語訳聖書  Jn.1:8

King James Version
1:8 He was not that Light, but [was sent] to bear witness of that Light.

New King James Version
1:8 He was not that Light, but was sent to bear witness of that Light.

American Standard Version
1:8 He was not the light, but came that he might bear witness of the light.

Bible in Basic English
1:8 He himself was not the light: he was sent to give witness about the light.

Today’s English Version
1:8 He himself was not the light; he came to tell about the light.

Darby’s English Translation
1:8 He was not the light, but that he might witness concerning the light.

Douay Rheims
1:8 He was not the light, but was to give testimony of the light.

Noah Webster Bible
1:8 He was not that Light, but was sent to bear testimony of that Light.

Weymouth New Testament
1:8 He was not the Light, but he existed that he might give testimony concerning the Light.

World English Bible
1:8 He was not the light, but was sent that he might testify about the light.

Young’s Literal Translation
1:8 that one was not the Light, but — that he might testify about the Light.

Ⅲ ギリシャ語聖書 Jn.1:8

Stephens 1550 Textus Receptus
ουκ ην εκεινος το φως αλλ ινα μαρτυρηση περι του φωτος

Scrivener 1894 Textus Receptus
ουκ ην εκεινος το φως αλλ ινα μαρτυρηση περι του φωτος

Byzantine Majority
ουκ ην εκεινος το φως αλλ ινα μαρτυρηση περι του φωτος

Alexandrian
ουκ ην εκεινος το φως αλλ ινα μαρτυρηση περι του φωτος

Hort and Westcott
ουκ ην εκεινος το φως αλλ ινα μαρτυρηση περι του φωτος

Ⅳ ギリシャ語聖書 Interlinear

ヨハネ1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

口語訳聖書

彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

οὐκ ἦν       ἐκεῖνος   τὸ φῶς,   ἀλλ᾽  ἵνα    μαρτυρήσῃ        περὶ        τοῦ   φωτός.
He was not   that       light,   but  that   he might witness  concerning  the   light.

Ⅴ ギリシャ語聖書 品詞色分け

Jn.1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

Ⅵ ラテン語聖書 Jn.1:8

Latin Vulgate
Jn.1:8

Non erat ille lux, sed ut testimonium perhiberet de lumine.
He was not the Light, but he was to offer testimony about the Light.

Ⅶ 私訳(詳訳)Jn.1:8

Jn.1:8 「彼〔ヨハネ〕は、光ではなかった。ただ、光について証しする<証言する、証明する>ために〔きたのである〕」

Ⅷ 聖書引照 Jn.1:8

Jn.1:8 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

[彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。]  ヨハ1:20; 3:28; 使徒19:4

Ⅸ 新約聖書ギリシャ語語句研究

ヨハネ1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

口語訳聖書

彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

【彼は】ἐκεῖνος   ἐκεῖνος エケイノス  ekeinos {ek-i‘-nos}  G1565 (apdnm-s 指示詞・主男単)

1)それ 2)かの 3)あれ 4)あの 5)その

【光では】φῶς  φῶς  ふォース phōs {foce}  G5457 (n-nn-s 名詞・主中単)

1)光、発光体 2)あかり、火、灯火 3)昼の光、日の出、光、発光体、天体 4)眼の光、心、理性、理解力

マタ4:16; 5:14,16; 6:23; 17:2;  ルカ2:32; 8:16; 11:35; 16:8 etc.

【なく】οὐκ ἦν

οὐκ οὐ  ウー ou {oo}  G3756 (qn 不変化詞・否定)

1)否 2)~ない 3)~でない

ἦν εἰμί エイミ  eimi {i-mee‘}  G1510 (viia–3s 動詞・直未完能3単)

1)ある、いる、~である、~です、~だ 2)行われる、おこる、生ずる、現れる、来る 3)いる、滞在する、とどまる 4)存在する 5)生きている

【むしろ】ἀλλ᾽  ἀλλά アるら alla {al-lah‘}  G235 (ch 接続詞・完)

1)けれども、たしかに 2)しかし、それでも 3)かえって 4)むしろ、むしろ反対に、それのみか 5)以外に、そうではなくて、それどころか

【光に】φωτός  φῶς  ふォース phōs {foce}  G5457 (n-nn-s 名詞・主中単)

1)光、発光体 2)あかり、火、灯火 3)昼の光、日の出、光、発光体、天体 4)眼の光、心、理性、理解力

マタ4:16; 5:14,16; 6:23; 17:2;  ルカ2:32; 8:16; 11:35; 16:8 etc.

【ついて】περὶ  περί ペリ peri {per-ee‘}  G4012 (pg 前置詞・属)

1)~のこと、~について、~に関して、~に言及して、のことで、において 2)の周りに、周囲に 3)~のために、~をめぐって、~の故に 4)大体、約

【証しをす】μαρτυρήσῃ  μαρτυρέω   マルトユレオー martureō {mar-too-reh‘-o}  G3140 (vsaa–3s 動詞・仮アオ能3単)

1)証言する 2)証人になる 3)立証する 4)あかしする 5)認める 6)保証する 7)褒める、賞賛する

マタ23:31

【ために(来た)】ἵνα ἵνα ヒナ hina {hin‘-ah}  G2443 (cs 接続詞・従)

1)そこに(へ) 2)~するために 3)~する事を 4)~ので 5)という事は 6)~であるところの 7)~するように 8)すなわち

Ⅹ 細き聲 聖書研究ノート

ヨハネ1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

口語訳聖書

彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

 <彼は光ではなく οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς>

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς 「この人は光ではなかった」

ἦν は εἰμί の直説法未完了能で、動作、行為が過去に於いて進行しつつある状態を表す。ヨハネは光であったことはなく、その後も光ではない状態が継続されていることを示す。

 <光について証しをするために ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός>

「光について περὶ τοῦ φωτός」は「光について、光をめぐって、光に関して」。ヨハネの証言は闇に輝く光にのみ焦点があてられる。

 <すべての人が彼によって信じる者となるために ἵνα πάντες πιστεύσωσιν δι᾽ αὐτοῦ>

ヨハネの証言は、「すべての人 πάντες」に対するものである。「すべて πᾶς パース」は、例外なく「生きとし生ける人間」のすべてに向けられる証言である。

Ⅺ 心のデボーション

「彼は光にあらず、光に就きて證せん爲に來れるなり。」 ヨハネ1:8 大正文語訳聖書

「彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである」 口語訳聖書

 「偶像化」

光について語る者は光ではない。光について語る者は自らが光になろうとする誘惑を退けなければならない。マタイの「あなたがたは、世の光です」(マタイ5:14)は、マラキ4:2「あながたには、義の太陽がのぼる」(マラキ4:2)において理解すべき御言葉である。キリスト者は、あたかも、月のように、「義の太陽」の光を受けて世を照らす「世の光」である。人が自らを「光」とするのは、自らを「偽りの神、すなわち偶像」とすることに他ならない。

(心のデボーション2623)

Ⅻ 聖書ノート その1

 「メサイアコンプレックス」

ヨハネ1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

口語訳聖書

彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

関連聖書 ルカ3:15 ヨハネ1:20 ヨハネ3:28 使徒19:4

Ⅰ 民衆の期待

ルカ3:15

προσδοκῶντος δὲ τοῦ λαοῦ καὶ διαλογιζομένων πάντων ἐν ταῖς καρδίαις αὐτῶν περὶ τοῦ ἰωάννου, μήποτε αὐτὸς εἴη ὁ χριστός,

口語訳聖書

民衆は救主を待ち望んでいたので、みな心の中でヨハネのことを、もしかしたらこの人がそれではなかろうかと考えていた。

バプテストのヨハネがユダの荒野で宣教を始めると、メシアの来臨を待ち望むユダヤの民衆は、バプテスマのヨハネこそが約束のメシアではないかという期待が高まった。人の中には、常に「見えるメシア」への期待が存在するのである。

Ⅱ メサイアコンプレック

バプテスマのヨハネに寄せられる民衆の期待は、ヨハネに「メサイアコンプレック Messiah complex」を抱かせるに十分なものであり、それはバプテスマのヨハネに霊的危機をもたらし得る力をもっていたと思われれるのである。(ルカ3:15)

「メサイアコンプレック Messiah complex」は「救世主妄想」と呼ばれるもので、聖なることに関わる者の肥大化した自我が、自己を「救済者」と位置づけ、人を救済することに自己満足的な喜びや、自己の存在意味をみいだそうとするものである。その背景には自尊心の貧しさがあり、人を救済する自己を意識することで自己充足感を満たそうとするのである。したがって、他者に提示する救済が受け入れられる限り、自己満足は充足するが、ひとたび、他者に拒まれると、あっさりとすべてを放棄し、身を引いてしまう。

Ⅲ パプテマスのヨハネの告白

ヨハネ1:20

καὶ ὡμολόγησεν καὶ οὐκ ἠρνήσατο, καὶ ὡμολόγησεν ὅτι ἐγὼ οὐκ εἰμὶ ὁ χριστός.

口語訳聖書

すなわち、彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。

ヨハネ3:28

αὐτοὶ ὑμεῖς μοι μαρτυρεῖτε ὅτι εἶπον [ὅτι] οὐκ εἰμὶ ἐγὼ ὁ χριστός, ἀλλ᾽ ὅτι ἀπεσταλμένος εἰμὶ ἔμπροσθεν ἐκείνου.

口語訳聖書

『わたしはキリストではなく、そのかたよりも先につかわされた者である』と言ったことをあかししてくれるのは、あなたがた自身である。

エルサレムからユダヤ人の祭司とレビ人が派遣されてヨハネに「あなたはどなたですか」と問うと、ヨハネは「私はメシアではない」と明言し、「では、エリヤですか」という問いにも「わたしはエリヤでもあの預言者でもない」と否定し、「あの方の前に遣わされた者だ」と答える。(ヨハネ1:19-27,3:28)

ヨハネ1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

口語訳聖書

彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

バプテスマのヨハネがこのように答え得たのは、自分は「光ではない」との明確な自己認識と、「光について証しをするために来た」という存在への明確な確信によるのである。

Ⅳ 使徒パウロの証言

使徒19:4

εἶπεν δὲ παῦλος, ἰωάννης ἐβάπτισεν βάπτισμα μετανοίας, τῶ λαῶ λέγων εἰς τὸν ἐρχόμενον μετ᾽ αὐτὸν ἵνα πιστεύσωσιν, τοῦτ᾽ ἔστιν εἰς τὸν ἰησοῦν.

口語訳聖書

そこで、パウロが言った、「ヨハネは悔改めのバプテスマを授けたが、それによって、自分のあとに来るかた、すなわち、イエスを信じるように、人々に勧めたのである」。

使徒パウロはコリントの教会に、「自分はヨハネのパプテマスを受けた」と主張する信徒がいることを知ると、「ヨハネは、自分の後から来る方、つまりイエスを信じるようにと、民に告げて、悔い改めの洗礼(バプテスマ)を授けたのです。」と告げると、人々は罪を告白してパウロから「イエスのバプテススマ」を受けた。(使徒19:1~7)

使徒パウロもバプテスマのヨハネの告白に従い、イエスがキリストであることを力強く証しした」のである。(使徒18:28)

聖書ノート その2

 「証し」

ヨハネ1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

口語訳聖書

彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

関連聖書 マタイ10:18 ヨハネ黙示録1:9 詩篇19:7

Ⅰ 証し μαρτυρέω   マルトユレオー

ヨハネ1:8

οὐκ ἦν ἐκεῖνος τὸ φῶς, ἀλλ᾽ ἵνα μαρτυρήσῃ περὶ τοῦ φωτός.

口語訳聖書

彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。

「証しμαρτυρέω」は言葉や行為によって、真理に対する証言を行うことを意味し、元来は法廷において被告に対する証言を意味した。その後、この語はキリス者のイエス・キリストとその救いの力を証言する行為に用いられた。初代教会においては、証言はしばしば逮捕、懲罰の対象とされた。その時代において信仰の証しは文字通り法廷における真理に対する厳格な証言を意味したのである。

マタイ10:18

καὶ ἐπὶ ἡγεμόνας δὲ καὶ βασιλεῖς ἀχθήσεσθε ἕνεκεν ἐμοῦ εἰς μαρτύριον αὐτοῖς καὶ τοῖς ἔθνεσιν.

口語訳聖書

またあなたがたは、わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるであろう。それは、彼らと異邦人とに対してあかしをするためである。

黙示1:9

ἐγὼ ἰωάννης, ὁ ἀδελφὸς ὑμῶν καὶ συγκοινωνὸς ἐν τῇ θλίψει καὶ βασιλείᾳ καὶ ὑπομονῇ ἐν ἰησοῦ, ἐγενόμην ἐν τῇ νήσῳ τῇ καλουμένῃ πάτμῳ διὰ τὸν λόγον τοῦ θεοῦ καὶ τὴν μαρτυρίαν ἰησοῦ.

口語訳聖書

あなたがたの兄弟であり、共にイエスの苦難と御国と忍耐とにあずかっている、わたしヨハネは、神の言とイエスのあかしとのゆえに、パトモスという島にいた。

Ⅱ 殉教

ギリシャ語「証しμαρτυρέω」は死と迫害をもたらしたことから、この語から英語の殉教者を意味する marthr が生まれた。真理について証し、また告白する者はいのちをかけて証言しなければならなかった。

Ⅲ 神のあかし

詩篇19:7

תּ֘וֹרַ֤ת יְהוָ֣ה תְּ֭מִימָה מְשִׁ֣יבַת נָ֑פֶשׁ עֵד֥וּת יְהוָ֥ה נֶ֝אֱמָנָ֗ה מַחְכִּ֥ימַת פֶּֽתִי

口語訳聖書

主のおきては完全であって、魂を生きかえらせ、主のあかしは確かであって、無学な者を賢くする。

神もまた真理について証しし給う。その証しは完全で魂を生き返らせ、確かなものとする。旧約聖書の神の幕屋は「あかしの幕屋」と呼ばれ、そこには「あかしの箱」が置かれ、神の御意志をあらわす十戒が納められ、「律法の箱」としてイスラエルの礼拝の中心となったのである。(出エジプト記25:10-22; 38:21)

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