ヨハネによる福音書1章5節

ヨハネによる福音書
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Ⅰ 日本語訳聖書 Jn.1:5

【明治元訳】
Jn.1:5 光は暗(くらき)に照り暗(くらき)は之を曉(さと)らざりき

【大正文語訳】
Jn.1:5 光は暗黒に照る、而して暗黒は之を悟らざりき。

【口語訳】
Jn.1:5 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

Ⅱ 英語訳聖書  Jn.1:5

King James Version
1:5 And the light shineth in darkness; and the darkness comprehended it not.

New King James Version
1:5 And the light shines in the darkness, and the darkness did not comprehend it.

American Standard Version
1:5 And the light shineth in the darkness; and the darkness apprehended it not.

Bible in Basic English
1:5 And the light goes on shining in the dark; it is not overcome by the dark.

Today’s English Version
1:5 The light shines in the darkness, and the darkness has never put it out.

Darby’s English Translation
1:5 And the light appears in darkness, and the darkness apprehended it not.

Douay Rheims
1:5 And the light shineth in darkness, and the darkness did not comprehend it.

Noah Webster Bible
1:5 And the light shineth in darkness; and the darkness comprehended it not.

Weymouth New Testament
1:5 The Light shines in the darkness, and the darkness has not overpowered it.

World English Bible
1:5 The light shines in the darkness, and the darkness hasn’t overcome it.

Young’s Literal Translation
1:5 and the light in the darkness did shine, and the darkness did not perceive it.

Ⅲ ギリシャ語聖書 Jn.1:5

Stephens 1550 Textus Receptus
και το φως εν τη σκοτια φαινει και η σκοτια αυτο ου κατελαβεν

Scrivener 1894 Textus Receptus
και το φως εν τη σκοτια φαινει και η σκοτια αυτο ου κατελαβεν

Byzantine Majority
και το φως εν τη σκοτια φαινει και η σκοτια αυτο ου κατελαβεν

Alexandrian
και το φως εν τη σκοτια φαινει και η σκοτια αυτο ου κατελαβεν

Hort and Westcott
και το φως εν τη σκοτια φαινει και η σκοτια αυτο ου κατελαβεν

Ⅳ ギリシャ語聖書 Interlinear

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

καὶ   τὸ   φῶς   ἐν   τῇ   σκοτίᾳ    φαίνει,  καὶ   ἡ    σκοτία    αὐτὸ  οὐ   κατέλαβεν.
And  the  light  in   the  darkness  shines,  and  the  darkness   it   not  overtook.

Ⅴ ギリシャ語聖書 品詞色分け

Jn.1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

Ⅵ ラテン語聖書 Jn.1:5

Latin Vulgate
Jn.1:5

et lux in tenebris lucet, et tenebræ eam non comprehenderunt.
And the light shines in the darkness, and the darkness did not comprehend it.

~ The darkness represents the fallen angels and all evil in the world, which cannot understand the light of goodness. Notice that the light shines in the present tense, which is the closest tense to the timelessness of the Eternity of God, but the darkness is spoken of using the past tense, because fallen angels are trapped in Time.

Ⅶ 私訳(詳訳)Jn.1:5

【私訳】「<人を照らす>光はやみ<霊的暗黒、罪の暗黒>の中に輝いている。やみ<霊的暗黒、罪の暗黒>が<人を照らす>光に打ち勝たなかった<自分のものにすることが出来なかった>からである。

Ⅷ 聖書引照 Jn.1:5

Jn.1:5 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

[光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった]  ヨハ1:10; 3:19,20; 12:36~40; ヨブ24:13~17; 箴言1:22,29,30; ロマ1:28; Ⅰコリ2:14

Ⅸ 新約聖書ギリシャ語語句研究

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

【そして】καὶ καί カイ kai {kahee}  G2532 (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【光は】φῶς  φῶς  ふォース phōs {foce}  G5457 (n-nn-s 名詞・主中単)

1)光、発光体 2)あかり、火、灯火 3)昼の光、日の出、光、発光体、天体 4)眼の光、心、理性、理解力

マタ4:16; 5:14,16; 6:23; 17:2;  ルカ2:32; 8:16; 11:35; 16:8 etc.

【闇の】σκοτίᾳ  σκοτία  スコティア  skotia {skot-ee‘-ah}  G4653 (n-df-s 名詞・与女単)

< σκότος  暗黒

1)暗いこと、闇、暗黒、闇の中、暗やみ 2)秘密裏の、はっきりとわからない 3)無知、欺瞞 4死後の刑罰の場所、死の暗黒、よみの闇 5)罪、霊的暗黒、罪の暗黒、知の暗やみ

マタ4:16; 10:27;  ルカ12:3;  ヨハ1:5; 6:17; 8:12; 12:35,46; 20:1;  Ⅰヨハ1:5; 2:8,9,11

【中で】ἐν ἐν エン en {en}  G1722 (pd 前置詞・与)

1)~の中に、~の間に 2)~の上に 3)ところに、のそばに 4)で 3)よって 5)に

【輝いている】φαίνει φαίνω ふァイノー phainō {fah‘ee-no}  G5316 (vipa–3s 動詞・直現能3単)

1)輝く、光を放つ、見えるようになる、照らす、現われる、見える、姿を見せる 2)示す、出現させる 3)明るい 4)あらわにする、明らかにする 5)知らせる、訴える、告発する

マタ1:20; 2:7,13,19; 13:26; 24:27,30;  マル16:9;  ヨハ1:5; 5:35;  ロマ7:13;  Ⅱコリ13:7; Ⅱペテ1:19;  Ⅰヨハ2:4;  黙示1:16 etc.

【そして】καὶ  καί カイ kai {kahee}  G2532 (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【闇は】σκοτία σκοτία  スコティア  skotia {skot-ee‘-ah}  G4653 (n-nf-s 名詞・主女単)

< σκότος  暗黒

1)暗いこと、闇、暗黒、闇の中、暗やみ 2)秘密裏の、はっきりとわからない 3)無知、欺瞞 4死後の刑罰の場所、死の暗黒、よみの闇 5)罪、霊的暗黒、罪の暗黒、知の暗やみ

マタ4:16; 10:27;  ルカ12:3;  ヨハ1:5; 6:17; 8:12; 12:35,46; 20:1;  Ⅰヨハ1:5; 2:8,9,11

【光りに】αὐτὸ  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  G846 (npan3s 代名詞・対中3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【打ち勝た】κατέλαβεν καταλαμβάνω カタらㇺバノー katalambanō {kat-al-am-ban‘-o} G2638 (viaa–3s 動詞・直アオ能3単)
1)しっかり掴む 2)つかまえる、手に入れる 3)捕らえる、襲う 4)逮捕する 5)自分のものとする 6)得る 7)打ち負かす、抑圧する 8)理解する、わかる、悟る

ヨハ1:5; ロマ9:35; ピリ3:12;

【なかった】οὐ  οὐ  ウー ou {oo}  G3756 (qn 不変化詞・否定)

1)否 2)~ない 3)~でない

Ⅹ 細き聲 聖書研究ノート

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

 <光はやみの中に輝いている τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει>

「光 φῶς」は「φάω光る、輝く」から来ており、1)あらゆるてらすもの、特に太陽からの光 2)発光体、天体、あかり、火、灯火、昼の光、日の出 3)眼の光、心、理性、理解力、人にいのちを与えるもの、人の霊を照らす光 4)真理 4)神、光 をあらわす。

「闇σκοτία」は「σκότος 暗黒」から来ており、1)暗いこと、闇、暗黒、闇の中、暗やみ 2)秘密裏の、はっきりとわからない 3)無知、欺瞞 4死後の刑罰の場所、死の暗黒、よみの闇 5)罪、霊的暗黒、罪の暗黒、知の暗やみ をあらわす。

「輝いているφαίνει」は「輝くφαίνω 1)輝く、光を放つ、見えるようになる、照らす、現われる、見える、姿を見せる 2)示す、出現させる 3)明るい 4)あらわにする、明らかにする 5)知らせる、訴える、告発する」のの直説法・現在・能動態である。 ギリシャ語の現在時制は、動作が現在行われていることを示し、同時にその動作が継続していることを示し、両者に厳密な区別をもうけないところから以下のように二つの訳が可能である。

American Standard Version
And the light shineth in the darkness 光は闇の中で輝いている

Bible in Basic English
And the light goes on shining in the dark; 光は闇の中で輝き続けている

塚本虎二訳聖書は「この光は(いつも)暗闇の中に輝いている。」として光が暗闇の中を継続して輝き続けることを強調する。これに対してバルバロ訳聖書は「光はやみに輝いたがやみはそれを悟らなかった。」と訳す。

 <闇は光に勝たなかった ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν>

「勝たなかったοὐ κατέλαβεν」。「καταλαμβάνω」は「しっかり掴む、つかまえる、手に入れる、捕らえる、襲う」で、闇は光を「自分のものとする(掴む、捕まえる、手に入れ」ようとしたが、出来なかった。

Ⅺ 心のデボーション

「光は暗黒に照る、而して暗黒は之を悟らざりき。」 ヨハネ1:2 大正文語訳聖書

「光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。」 口語訳聖書

 「闇の意志」

「闇」は常に「光」を己が手に捕らえ、光に代わろうと試みるが、闇は光に打ち勝つことはない。どれほど霊的暗黒が濃くても、暗黒は光を手に入れることはできない。それでも、闇が光に代わろうとする意志のあることを忘れることはできない。

(心のデボーション2325)

† 心のデボーション

「光は暗黒に照る、而して暗黒は之を悟らざりき。」 ヨハネ1:2 大正文語訳聖書

「光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。」 口語訳聖書

 「曉 あかつき」

「やみはこれに勝たなかった」を明治元訳聖書は「暗(くらき)は之を曉(さと)らざりき」と訳している。「曉 あかつき」は、太陽が昇るまえのほの暗い時刻をさすことばである。そこから「曉 あかつき」は「さとる。よく知る。はっきりとわかる。」を意味するようになった。やがて「あかつき」は「しののめ」「あけぼの」と次第に明るさを増してゆく。「光」が差し始め、暗黒のなかに夜明けの明るさがはじまったが、「闇」は「光」を「さとる、よく知る、はっきりとわかることがなかった」の意味である。

「あかつき」「しののめ」「あけぼの」へと次第に明るさを増してゆく悟り方がある。

(心のデボーション2335)

Ⅻ 聖書ノート その1

 「光は闇の中に」

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

関連聖書 ヨハネ1:5 創世記1:3-4 ヨブ12:22 ヨブ37:13 詩篇112:4 ヨブ37:14  詩篇36:9 詩篇37:6 イザヤ9:2 詩篇27:1 イザヤ2:5 伝道12:1-2

Ⅰ 光は闇の中に輝いている

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

創世記1:3-4

וַיֹּ֥אמֶר אֱלֹהִ֖ים יְהִ֣י אֹ֑ור וַֽיְהִי־אֹֽור

וַיַּ֧רְא אֱלֹהִ֛ים אֶת־הָאֹ֖ור כִּי־טֹ֑וב וַיַּבְדֵּ֣ל אֱלֹהִ֔ים בֵּ֥ין הָאֹ֖ור וּבֵ֥ין הַחֹֽשֶׁךְ

口語訳聖書

神は「光あれ」と言われた。すると光があった。神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。

神は創造のはじめに「光あれ」と言われると「光があった」。神の口からでた「ことば」は神の意志を誤りないく出現(創造)した。光は闇の中で輝く。「光」は闇を分ける「光」であった。

ヨブ12:22

מְגַלֶּ֣ה עֲ֭מֻקוֹת מִנִּי־חֹ֑שֶׁךְ וַיֹּצֵ֖א לָא֣וֹר צַלְמָֽוֶת

口語訳聖書

暗やみの中から隠れた事どもをあらわし、暗黒を光に引き出し、
ヨブ37:13

אִם־לְשֵׁ֥בֶט אִם־לְאַרְצ֑וֹ אִם־לְ֝חֶ֗סֶד יַמְצִאֵֽהוּ

口語訳聖書

神がこれらをこさせるのは、懲しめのため、あるいはその地のため、あるいはいつくしみのためである。懲らしめのためにも、大地のためにも/そして恵みを与えるためにも/神はこれを行わせられる。

詩篇112:4

口語訳聖書

光は正しい者のために暗黒の中にもあらわれる。主は恵み深く、あわれみに満ち、正しくいらせられる。

ヨブ37:14

口語訳聖書

ヨブよ、これを聞け、立って神のくすしきみわざを考えよ。

「闇 חשֶׁךְ」は「暗黒の深い淵、死の闇」である。神の光は「暗黒の深い淵、死の闇」を照らし、明るみに引き出す。その目的は一つに「懲らしめ」の為であり、「恵みを与える」、「あわれみに富み、情け深く、正しい光」である。じっと考えよ。

Ⅱ 主は光

詩篇36:9

כִּֽי־עִ֭מְּךָ מְק֣וֹר חַיִּ֑ים בְּ֝אוֹרְךָ֗ נִרְאֶה־אֽוֹר

いのちの泉はあなたのもとにあり、われらはあなたの光によって光を見る。
詩篇37:6

וְהוֹצִ֣יא כָא֣וֹר צִדְקֶ֑ךָ וּ֝מִשְׁפָּטֶ֗ךָ כַּֽצָּהֳרָֽיִם

口語訳聖書

あなたの義を光のように明らかにし、あなたの正しいことを真昼のように明らかにされる。

人は神の照らす光によって光を見る(知る)。いのちの泉が神にあることを知る。神の光のうちに義と公正は真昼間のように輝き、地に確立する。

イザヤ9:2

הָעָם֙ הַהֹלְכִ֣ים בַּחֹ֔שֶׁךְ רָא֖וּ א֣וֹר גָּד֑וֹל יֹשְׁבֵי֙ בְּאֶ֣רֶץ צַלְמָ֔וֶת א֖וֹר נָגַ֥הּ עֲלֵיהֶֽם

口語訳聖書

暗やみの中に歩んでいた民は大いなる光を見た。暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った。

詩篇27:1

לְדָוִ֨ד׀ יְהוָ֤ה׀ אוֹרִ֣י וְ֭יִשְׁעִי מִמִּ֣י אִירָ֑א יְהוָ֥ה מָֽעוֹז־חַ֝יַּ֗י מִמִּ֥י אֶפְחָֽד

口語訳聖書

主はわたしの光、わたしの救だ、わたしはだれを恐れよう。主はわたしの命のとりでだ。わたしはだれをじ恐れよう。

Ⅲ みことばの光

イザヤ2:5

בֵּ֖ית יַעֲקֹ֑ב לְכ֥וּ וְנֵלְכָ֖ה בְּא֥וֹר יְהוָֽה

口語訳聖書

ヤコブの家よ、さあ、われわれは主の光に歩もう。

伝道12:1-2

口語訳聖書

あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、「わたしにはなんの楽しみもない」と言うようにならない前に、 また日や光や、月や星の暗くならない前に、雨の後にまた雲が帰らないうちに、そのようにせよ。

来たれ、「太陽が闇に変わらないうちに。月や星の光がうせないうちに」(伝道12:2 新共同訳聖書)、主の光によって歩め。主の「御言葉は、わたしの道の光/わたしの歩みを照らす灯」(詩篇119:105 新改訳聖書)である。

聖書ノート その2

「闇について」

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

関連聖書 ヨハネ1:5  詩篇104:20 ダニエル書3:72(LXX) 創世記1:18 Ⅰ列王記8:12 ヨブ記10:22 マタ

イ8:12 Ⅰテモテ6:6 ヨハネ1:9 ヘブル4:16 ヤコブ4:8

Ⅰ 用語

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

「光は闇の中に輝いている τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει」とヨハネは語る。「光」と「闇」は聖書の重要なテーマである。

聖書には幾つかの「闇」を意味する言葉が用いられている。「闇について」考察するまえに、まず、「闇」を意味する用語を列記する。

ヘブライ語

אֹפֶל  ôphel   暗闇 ヨブ記10:22
אֲפֵל‏ָה  ăphêlâh 暗黒、暗闇、悲惨、邪悪 イザヤ58:10
חֲשֵׁכ‏ָה  cheshkâh  闇、低い 詩篇139:12
חָשַׁך ‎  châshak 闇、秘密の場所、暗さ、宇宙的暗黒 創世1:2

ギリシャ語

ヨハネ1:5

σκοτία  1)暗いこと、闇、暗黒、闇の中、暗やみ 2)秘密裏の、はっきりとわからない 3)無知、欺瞞 4死後の刑罰の場所、死の暗黒、よみの闇 5)罪、霊的暗黒、罪の暗黒、知の暗やみ

Ⅱ 昼と夜

聖書において「闇」は、まず、昼と夜を分ける光と闇として創造の重要な過程として存在する。

詩篇104:20

תָּֽשֶׁת־חֹ֭שֶׁךְ וִ֣יהִי לָ֑יְלָה בּֽוֹ־תִ֝רְמֹ֗שׂ כָּל־חַיְתוֹ־יָֽעַר

口語訳聖書

あなたは暗やみを造って夜とされた。その時、林の獣は皆忍び出る。

ダニエル書3:72(LXX)

εὐλογεῖτε φῶς καὶ σκότος τὸν κύριον ὑμνεῖτε καὶ ὑπερυψοῦτε αὐτὸν εἰς τοὺς αἰῶνας

バルバロ訳聖書

光とやみよ、みな、主を祝せよ、主をほめ、世々にたたえよ。

(ダニエル書3:72(LXX)は七十人訳にある。プロテスタント聖書には第二聖典として省かれているが、聖書研究のために聖書ノートには出典を明らかにしたかたちで引用する)

創世記1:18

וְלִמְשֹׁל֙ בַּיֹּ֣ום וּבַלַּ֔יְלָה וּֽלֲהַבְדִּ֔יל בֵּ֥ין הָאֹ֖ור וּבֵ֣ין הַחֹ֑שֶׁךְ וַיַּ֥רְא אֱלֹהִ֖ים כִּי־טֹֽוב

口語訳聖書

また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神はそれを見て良しとされた。

神が天と地を創造されたとき、「地は形がなく、何もなかった。やみが大いなる水の上に」あった。(創世記1:2) 神が「光よあれ」と仰せられると、「光」があった。神は「光」をよしと見られ、「光とやみ」を分けられた。こうして、光とやみは昼と夜の終りのない交代の営みが地に成ったのである。

「やみ」は「光」とともに世々に「主を賛美」している。(ダニエル書3:72 LXX) 神は光と闇を分けられ、昼と夜の交代する地をご覧になって「それをよしとされた」(創世記1:14~19)のである。

Ⅰ列王記8:12

אָ֖ז אָמַ֣ר שְׁלֹמֹ֑ה יְהוָ֣ה אָמַ֔ר לִשְׁכֹּ֖ן בָּעֲרָפֶֽל

口語訳聖書

そこでソロモンは言った、/「主は日を天に置かれた。しかも主は自ら濃き雲の中に住まおうと言われた。

「濃き雲 עֲר‏ָפֶל」は「暗闇」と訳すこともできる。神は「やみ」を御住まいとされる。詩篇97:2には「雲と暗やみが主を取り囲み、義とさばきが御座の基である」とあり、神のつくられた「やみ」と「光」は神をとりかこみ、「義とさばきの御座」を形成する。

Ⅲ 死者の住居としての暗黒

「闇」には神の創られた「昼と夜、光と闇」に対して、「死者の住居」としての暗黒が取り上げられなければならない。

ヨブ記10:22

אֶ֤רֶץ עֵיפָ֨תָה׀ כְּמ֥וֹ אֹ֗פֶל צַ֭לְמָוֶת וְלֹ֥א סְדָרִ֗ים וַתֹּ֥פַע כְּמוֹ־אֹֽפֶל

口語訳聖書

これは暗き地で、やみにひとしく、/暗黒で秩序なく、光もやみのようだ

マタイ8:12

οἱ δὲ υἱοὶ τῆς βασιλείας ἐκβληθήσονται εἰς τὸ σκότος τὸ ἐξώτερον· ἐκεῖ ἔσται ὁ κλαυθμὸς καὶ ὁ βρυγμὸς τῶν ὀδόντων.

口語訳聖書

この国の子らは外のやみに追い出され、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう

死者の住居は「やみと死の陰の地」であり、秩序なき、光のとどかない暗闇である。この「闇」は悪人のために備えられた場所であり、そこに入る者は「泣き叫び、歯嚙みする」ところである。

Ⅳ 神は近寄りがたい光の中におられる

Ⅰテモテ6:6

ὁ μόνος ἔχων ἀθανασίαν, φῶς οἰκῶν ἀπρόσιτον, ὃν εἶδεν οὐδεὶς ἀνθρώπων οὐδὲ ἰδεῖν δύναται· ᾧ τιμὴ καὶ κράτος αἰώνιον· ἀμήν.

口語訳聖書

神はただひとり不死を保ち、近づきがたい光の中に住み、人間の中でだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。ほまれと永遠の支配とが、神にあるように、アァメン。

ヨハネ1:9

ἦν τὸ φῶς τὸ ἀληθινόν, ὃ φωτίζει πάντα ἄνθρωπον, ἐρχόμενον εἰς τὸν κόσμον.

口語訳聖書

すべての人を照すまことの光があって、世にきた。

神は「近寄りがたい光」の中に住まわれ、人はそこから分離している。神に対する認識の欠如、霊的無知が神から人を分離させたのである。しかし、「近寄りがたい光」はイエス・キリストとして世に来た。われらはイエス・キリストによって大胆に神に近づくことを得るのである。

ヘブル4:16

 προσερχώμεθα οὗν μετὰ παρρησίας τῶ θρόνῳ τῆς χάριτος, ἵνα λάβωμεν ἔλεος καὶ χάριν εὕρωμεν εἰς εὔκαιρον βοήθειαν.

口語訳聖書

だから、わたしたちは、あわれみを受け、また、恵みにあずかって時機を得た助けを受けるために、はばかることなく恵みの御座に近づこうではないか。

ヤコブ4:8

ἐγγίσατε τῶ θεῶ, καὶ ἐγγιεῖ ὑμῖν. καθαρίσατε χεῖρας, ἁμαρτωλοί, καὶ ἁγνίσατε καρδίας, δίψυχοι.

口語訳聖書

神に近づきなさい。そうすれば、神はあなたがたに近づいて下さるであろう。罪人どもよ、手をきよめよ。二心の者どもよ、心を清くせよ。

聖書ノート その3

「光について」

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

関連聖書 創世記1:3 詩篇104:1-2 Ⅰテモテ6:16 ヤコブ1:17 ヨハネ1:5 詩篇36:9

Ⅰ 用語

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

旧約聖書において、神は「光」を創造し、「光」を「衣のように」まとわれると表現されている。ギリシャ語の「光 φῶς」は「闇 σκότος  スコトス」に対照されて用いられる。

旧約聖書

אוֹר ‎
オール ‘ôr
光、稲妻、輝く、日、日光、日ざかり

新約聖書

φῶς
ふォース phōs
光、発光体、あかり、火、灯火、昼の光、日の出、天体、眼の光、心、理性、理解力

Ⅱ 物理的「光」

創世記1:3

וַיֹּ֥אמֶר אֱלֹהִ֖ים יְהִ֣י א֑וֹר וַֽיְהִי־אֽוֹר

口語訳聖書

神は「光あれ」と言われた。すると光があった。

神が天と地を創造されたとき、「地は混沌として、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。

וְהָאָ֗רֶץ הָיְתָ֥ה תֹ֙הוּ֙ וָבֹ֔הוּ וְחֹ֖שֶׁךְ עַל־פְּנֵ֣י תְה֑וֹם וְר֣וּחַ אֱלֹהִ֔ים מְרַחֶ֖פֶת עַל־פְּנֵ֥י הַמָּֽיִם」。そしてか神が「光あれ」と言われると光があった。(創世記1:1~3)神は光をよしと見られ、「光」と「闇」を分けられた。太陽と月の「二つの大きな光るもの」が創造されるのは創造の第4日目である。(創世記1:14~19)。ここから、創造の初めにつくられた「光」は太陽や月とは別の宇宙的光と理解することもできる。

宇宙物理学は宇宙に「光」が「時と空間」を担うものと認める。物理的光は粒子と波の性質をあわせもち、電磁的エネルギーとして空間を振動させながら伝播する。電磁波には可視光も不可視光もあり、マイクロ波や電波も「光」である。

「光」が太陽の光のように可視光であるとしても、闇を直進する「光」そのものは見えない。光が地球に衝突し、作用することによって、その存在を知るのである。

「光」の速度は一秒間に30万㎞で光が一年間進む距離は90兆4600億㎞であり、宇宙は138臆光年の広がりを持つ。

しかし、人間が現在宇宙望遠鏡で観測できるのは宇宙が誕生してから5億年頃の宇宙であり、宇宙は現在も広がっている。そこから138億光年を計算すると宇宙は地球を中心にして半径464億光年の広がりを持つと計算されている。

創造の初めに、神は「時と空間」を明らかにする宇宙的光を「あれ」と命じられ、「光」は「闇」と分けられ、「光」は宇宙の「時と空間」を形成し続けるエネルギーとして存在していると考えことができよう。

Ⅲ 霊的「光」

詩篇104:1-2

תְּ֭פִלָּה לְעָנִ֣י כִֽי־יַעֲטֹ֑ף וְלִפְנֵ֥י יְ֝הוָ֗ה יִשְׁפֹּ֥ךְ שִׂיחֽוֹ
יְ֭הוָה שִׁמְעָ֣ה תְפִלָּתִ֑י וְ֝שַׁוְעָתִ֗י אֵלֶ֥יךָ תָבֽוֹא

口語訳聖書

わがたましいよ、主をほめよ。わが神、主よ、あなたはいとも大いにして誉と威厳とを着、光を衣のようにまとい、天を幕のように張り、
Ⅰテモテ6:16

ὁ μόνος ἔχων ἀθανασίαν, φῶς οἰκῶν ἀπρόσιτον, ὃν εἶδεν οὐδεὶς ἀνθρώπων οὐδὲ ἰδεῖν δύναται· ᾧ τιμὴ καὶ κράτος αἰώνιον· ἀμήν.

口語訳聖書

神はただひとり不死を保ち、近づきがたい光の中に住み、人間の中でだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。ほまれと永遠の支配とが、神にあるように、アァメン。

神は近寄り難い「光」の中に住まわれ、「光」を衣のようにまとわれる。

ヤコブ1:17

πᾶσα δόσις ἀγαθὴ καὶ πᾶν δώρημα τέλειον ἄνωθέν ἐστιν, καταβαῖνον ἀπὸ τοῦ πατρὸς τῶν φώτων, παρ᾽ ᾧ οὐκ ἔνι παραλλαγὴ ἢ τροπῆς ἀποσκίασμα.

口語訳聖書

あらゆる良い贈り物、あらゆる完全な賜物は、上から、光の父から下って来る。父には、変化とか回転の影とかいうものはない。

すべての「あらゆるよきもの、あらゆる完全な賜物」は「光の源である父なる神」から来る。ここに、「光」は「あらゆるよきもの、あらゆる完全な賜物」を照らす霊的「光」として地を照らすのである。

物理的光が「時と空間」を明らかにし、存在をあらわすとき、霊的「光」はその根源的な力を神よりの「光」として、人間存在を「時と空間」に位置付け、あるべき方向を教え、存在ならしめるエネルギーとなるのである。

霊的「光」は人間に「私という存在」の意識を与える。過去、現在、未来の時と空間の中に「私という存在」を位置づけ、「私」の生きる空間と存在の意味を確信させる。

聖書ノート その4

「闇は光に勝たなかった」

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

関連聖書 ヨハネ1:5 ヨハネ3:19-20 詩篇36:9

「闇は光に勝たなかった」

 Ⅰ 闇は光に勝たなかった

ヨハネ1:5

καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.

口語訳聖書

ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν 闇は光に勝たなかった

「打ち勝つ καταλαμβάνω カタらㇺバノー」は「しっかり掴む、つかまえる、捕らえる、打ち負かす、抑圧する」の意味である。

大正文語訳聖書

光は暗黒に照る、而して暗黒は之を悟らざりき。

口語訳聖書

光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

新共同訳聖書

光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。

バルバロ訳聖書

光はやみに輝いたがやみはそれを悟らなかった。

日本正教会訳聖書

光は暗に照り、暗は之を蔽はざりき

永井直治訳聖書

光は暗(くらやみ)に照り、暗は之を蔽(おほ)はざりき。

霊的「光」に対する「闇」は、「あらゆるよきもの、あらゆる完全な賜物」を包み隠し、方向を失わせる力である。霊的「闇」は神の創造された世界と人間の時と存在の意味を覆い隠す。しかし、闇の中を直進する「物理的光」を止め得ないように、闇は神の霊的光を覆い隠すことはできない。

Ⅱ 闇はこれを悟らなかった

「闇は光に勝たなかった」(聖書協会共同訳聖書)は「やみはそれを悟らなかった」(バルバロ訳聖書)とも訳し得る。新共同訳聖書は「暗闇は光を理解しなかった」と訳している。

「打ち勝つκαταλαμβάνω」は「捕らえる、理解する、見つける、つかむ、所有する」の意味を持つ。

「闇」は「光」を理解しない。「闇」は「光」を所有しない。「闇」が「光」に代わり、「闇」が「光」に入れ替わることは決してない。

Ⅲ 人は光よりも闇を愛した

ヨハネ3:19-20

αὕτη δέ ἐστιν ἡ κρίσις, ὅτι τὸ φῶς ἐλήλυθεν εἰς τὸν κόσμον καὶ ἠγάπησαν οἱ ἄνθρωποι μᾶλλον τὸ σκότος ἢ τὸ φῶς, ἦν γὰρ αὐτῶν πονηρὰ τὰ ἔργα. πᾶς γὰρ ὁ φαῦλα πράσσων μισεῖ τὸ φῶς καὶ οὐκ ἔρχεται πρὸς τὸ φῶς, ἵνα μὴ ἐλεγχθῇ τὰ ἔργα αὐτοῦ·

口語訳聖書

そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。

人間は「光」よりも「闇」を愛する。それは「その行いが明るみ(光)に出されるのを恐れるからである。

Ⅳ いのちの光

詩篇36:10

יִ֭רְוְיֻן מִדֶּ֣שֶׁן בֵּיתֶ֑ךָ וְנַ֖חַל עֲדָנֶ֣יךָ תַשְׁקֵֽם

καὶ ἔτι ὀλίγον καὶ οὐ μὴ ὑπάρξῃ ὁ ἁμαρτωλός καὶ ζητήσεις τὸν τόπον αὐτοῦ καὶ οὐ μὴ εὕρῃς

口語訳聖書

いのちの泉はあなたのもとにあり、われらはあなたの光によって光を見る。

闇に隠れる者はいのちの存在の方向と意味を失う。失われたいのちを回復するには「いのちの泉」から水を飲み、神の光の中に光を見ることである。光はあらゆる魂の闇を明るみに出し、あるべきいのちを回復するのである。

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