Ⅰ 日本語訳聖書 Jn.1:3
【明治元訳】
Jn.1:3 萬物(よろづのもの)これに由て造らる造れたる者に一として之に由らで造れしは無
【大正文語訳】
Jn.1:3 萬の物これに由りて成り、成りたる物に一つとして之によらで成りたるはなし。
【口語訳】
Jn.1:3 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。
Ⅱ 英語訳聖書 Jn.1:3
King James Version
1:3 All things were made by him; and without him was not any thing made that was made.
New King James Version
1:3 All things were made through Him, and without Him nothing was made that was made.
American Standard Version
1:3 All things were made through him; and without him was not anything made that hath been made.
Bible in Basic English
1:3 All things came into existence through him, and without him nothing was.
Today’s English Version
Joh 1:3 Through him God made all things; not one thing in all creation was made without him.
Darby’s English Translation
1:3 All things received being through him, and without him not one thing received being which has received being.
Douay Rheims
1:3 All things were made by him: and without him was made nothing that was made.
Noah Webster Bible
1:3 All things were made by him; and without him was not any thing made that was made.
Weymouth New Testament
1:3 All things came into being through Him, and apart from Him nothing that exists came into being.
World English Bible
1:3 All things were made through him. Without him was not anything made that has been made.
Young’s Literal Translation
1:3 all things through him did happen, and without him happened not even one thing that hath happened.
Ⅲ ギリシャ語聖書 Jn.1:3
Stephens 1550 Textus Receptus
παντα δι αυτου εγενετο και χωρις αυτου εγενετο ουδε εν ο γεγονεν
Scrivener 1894 Textus Receptus
παντα δι αυτου εγενετο και χωρις αυτου εγενετο ουδε εν ο γεγονεν
Byzantine Majority
παντα δι αυτου εγενετο και χωρις αυτου εγενετο ουδε εν ο γεγονεν
Alexandrian
παντα δι αυτου εγενετο και χωρις αυτου εγενετο ουδε εν ο γεγονεν
Hort and Westcott
παντα δι αυτου εγενετο και χωρις αυτου εγενετο ουδε εν ο γεγονεν
Ⅳ ギリシャ語聖書 Interlinear
ヨハネ1:3
πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν
口語訳聖書
すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。
Ⅴ ギリシャ語聖書 品詞色分け
ヨハネ1:3
πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν
Ⅵ ラテン語聖書 Jn.1:3
Latin Vulgate
Jn.1:3
Omnia per ipsum facta sunt: et sine ipso factum est nihil, quod factum est,
All things were made through Him, and nothing that was made was made without Him.
Ⅶ 私訳(詳訳)Jn.1:3
【私訳】 すべてのもの<何であれすべてのもの、一つのこらずすべて>は彼〔ことば〕によって<を通して、の中に>つくられた<存在を始めた、存在するに至った>。存在している<存在を始めた、存在するに至った>もので、彼〔ことば〕によらないでつくられたものは何一つない。
Ⅷ 聖書引照 Jn.1:3
ヨハネ1:3
πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν
口語訳聖書
すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。
[すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった] ヨハ1:10; 5:17-19; 創世1:1,26; 詩篇33:6; 102:25-27; イザ45:12,18; Ⅰコリ8:6; エペ3:9-12; コロ1:16,17; ヘブ1:1,2,3,10~12; 3:3,4; 黙示4:11
Ⅸ 新約聖書ギリシャ語語句研究
ヨハネ1:3
πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν
口語訳聖書
すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。
【万物は】πάντα πᾶς パース pas {pas} G3956 (ap-nn-p 形容詞・主)
1)どれでも、何であれ、何でも、あらゆる、みな 2)~全部の、あらんかぎりの、1つも欠けが無い、ひとり残らず 3)全体の、全部の、すべて 4)混じりものがなく、純粋な
πᾶσαι パーサイ 「πᾶς どれでも、全体の」の複数形
【言によって】δι᾽ αὐτοῦ
δι᾽ διά ディア dia {dee-ah‘} G1223 (pg 前置詞・属)
1)~を通って、通り抜けて 2)~を通じて、~中ずっと、~の中に、~の中へと 3)~の故に 3)~のために、~の故に 4)~の間で 5)~を経て、~によって、~の後に
αὐτοῦ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} G846 (npgm3s 代名詞・属男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞)2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
【成った】ἐγένετο γίνομαι ギノマイ ginomai {ghin‘-om-ahee} G1096 (viad–3s 動詞・直アオ能欠3単)
1)存在するようになる、存在するにいたる、存在を始める 2)生じる、生ずる、生まれる 3)現れる、おこる、発生する、始まる、になる、ふりかかる、成る、登場する、来る 4)~とされる、仕上げられる、作られる、行われる、なされる 5)出る、起こる
マタ10:29; 13:5,8,23; 15:35; 23:35; 27:51; マル4:8,20,26,28,31; 8:6; 9:20; 14:35; ルカ13:7;14:35; 22:44; 24:5; ヨハ8:6,8: 12:24; ヘブ6:7; ヤコ5:5 etc.
【そして】καὶ καί カイ kai {kahee} G2532 (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【言によらずに】χωρὶς αὐτοῦ
χωρὶς χωρίς こーリス chōris {kho-rece‘ } G5565 (ab 副詞)
1)離れて、別に、かかわりなく 2)~なしで、抜きで、~以外に、を除いて、と別に
(G5565 χωρίς Adverb from 5561 at a space, that is, separately or apart from (often as preposition): – beside, by itself, without. Internet Sacred Text Archive)
αὐτοῦ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npgm3s 代名詞・属男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
【成ったものは】ἐγένετο γίνομαι ギノマイ ginomai {ghin‘-om-ahee} G1096 (viad–3s 動詞・直アオ能欠3単)
1)存在するようになる、存在するにいたる、存在を始める 2)生じる、生ずる、生まれる 3)現れる、おこる、発生する、始まる、になる、ふりかかる、成る、登場する、来る 4)~とされる、仕上げられる、作られる、行われる、なされる 5)出る、起こる
【何一つなかった】οὐδὲ ἕν. ὃ γέγονεν
οὐδὲ οὐδέ ウーデ oude {oo-deh‘} G3761 (ab 副詞)
1)また~ない 2)さえ~ない、でさえない 3)そして~ない
ἕν εἷς ヘイス heis {hice} G1520 (a-cnn-s 数詞・主中単)
1)1 2)一つの、ただ一つの 3)全く同一の 4)ある人
ὃ ὅς ホス hos {hos} G3739 (aprnn-s 関係代名詞・主中単)
1)この~ 2)これ 3)ところの、そして
γέγονεν γίνομαι ギノマイ ginomai {ghin‘-om-ahee} G1096 (vira–3s 動詞・直完了能3単)
1)存在するようになる、存在するにいたる、存在を始める 2)生じる、生ずる、生まれる 3)現れる、おこる、発生する、始まる、になる、ふりかかる、成る、登場する、来る 4)~とされる、仕上げられる、作られる、行われる、なされる 5)出る、起こる
マタ10:29; 13:5,8,23; 15:35; 23:35; 27:51; マル4:8,20,26,28,31; 8:6; 9:20; 14:35; ルカ13:7;14:35; 22:44; 24:5; ヨハ8:6,8: 12:24; ヘブ6:7; ヤコ5:5 etc.
Ⅹ 細き聲 聖書研究ノート
ヨハネ1:3
πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν
口語訳聖書
すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。
<万物は言によって成った πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο>
「万物は πάντα」
「万物πᾶς」は「何であれ、あらゆるもの、全体」の意味である。Πάντα は無冠詞複数で、「すべてのもの、あらゆるもの(こと)」をあらわす。
「言によってδι᾽ αὐτοῦ」
「よってδιά」は「手段・動因・動作者」をさす。「~によって・~の働きによって」。すべてのもの(こと)は「ことば λόγος」の働きによって成った。
「成ったἐγένετο」
「成るγίνομαι」は「存在するにいたる、存在を始める、生じる、現れる、起こる」の意味。「成った ἐγένετο 直接法・アオリスト(不定過去)」は過去の特定の時期に起きた出来事を示唆する。「ことば λόγος」による創造が、歴史的出来事として「成った」ことを確信する。
<言によらずに成ったものは何一つなかった καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν>
3節後半はギリシャ語本文の句読点を打つ場所によって二つの読み方がある。
1)καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν. ὃ γέγονεν
句読点をὃ γέγονενの前に打つもので、この場合、ὃ γέγονενは4節の主語とみなす読み方である。
3節後半~4節前半「ことばによらずにできたものはない。造られたものはみな、この方においていのちがあった」と読まれる。
2)καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν
句読点は文の終わりに置くことで、「言によらずに成ったものは何一つなかった」と読む。現代では文語訳聖書、聖書協会共同訳、新改訳聖書など、多くの聖書がこれに従う。
「言によらずにχωρὶς αὐτοῦ」
「χωρίς」は、「ことばλόγος」が「~を離れて、と別に、とかかわりなく、~なしで、~抜きで、~と別に~を差し置いて、~をともなわずに」をあらわす副詞。
「成ったものは何一つなかったἐγένετο οὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν」
「成ったものἐγένετο」
前文の「万物は言によって成った πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο」を受け、「ことばλόγος によって成ったἐγένετοもの」。
「何一つなかったοὐδὲ ἕν ὃ γέγονεν」
「γέγονεν」は「γίνομαι 存在するにいたる、存在を始める、生じる、現れる、起こる」。直訳「ことばλόγος によって成ったもので、存在にいたらなかったものは、何一つなかった」。
Ⅺ 心のデボーション
「萬の物これに由りて成り、成りたる物に一つとして之によらで成りたるはなし。」 ヨハネ1:3 大正文語訳聖書
「万物は言によって成った。言によらずに成ったものは何一つなかった。」 聖書協会共同訳聖書
「あらゆるもの(こと)」
「万物 πᾶς パース 何であれ、あらゆるもの、全体」は神によって創造された。天と地の「あらゆるもの」と「あらゆること」はかみによって存在に至るのである。(創世記1:1)
現在の「あらゆる出来事」は創造の神による働きである。その意味は神の内に隠されている。
コロサイ1:14
聖書協会共同訳聖書
天にあるものも地にあるものも/見えるものも見えないものも/王座も主権も/支配も権威も/万物は御子において造られたからです。/万物は御子によって、御子のために造られたのです。
(心のデボーション2075)
心のデボーション
「萬の物これに由りて成り、成りたる物に一つとして之によらで成りたるはなし。」 ヨハネ1:3 大正文語訳聖書
「万物は言によって成った。言によらずに成ったものは何一つなかった。」 聖書協会共同訳聖書
「宇宙万物を」
旧約聖書外典エズラ記(ラテン語)には次のようなことばがある。「私がこれらをあなたの御前で語ったのは、主よ、初めに世をお造りになったのは私たちのためだ、と言われたからです。」(エズラ記(ラテン語)6: 55 聖書協会共同訳聖書) 神は宇宙万物を人のために創られた。
(心のデボーション2079)
Ⅻ 聖書ノート その1
「すべてのこと(もの)は」
「すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。」 ヨハネ1:3 口語訳聖書
関連聖書 ヨハネ1:3 コロサイ1:16 ヘブル1:2 ヘブル1:3 イザヤ45:18,19
「すべてのこと(もの)は」
「すべてのこと(もの)は、この方(ことば ὁλόγος)によって造られた(成った)」ヨハネ1:3
Ⅰ 「ことばὁλόγος」を通して
「すべてのこと(もの)は「御子によって、御子にあって、御子のために」創られた。「すべてのこと(もの)」は御子より来たり、御子によって成り、御子を現わす。
ⅰ この方によってδι᾽ αὐτοῦ
「万物は言によって成った πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο」 ヨハネ1:3
ⅱ 御子にあってἐν αὐτῶ
「なぜなら、万物は御子にあって(ἐν αὐτῶ ἐκτίσθη τὰ πάντα)造られたからです。天にあるもの、地にあるもの、見えるもの、また見えないもの、王座も主権も支配も権威も、すべて御子によって造られたのです。万物は、御子によって造られ(τὰ πάντα δι᾽ αὐτοῦ)、御子のために造られたのです。」 コロサイ1:16 新改訳聖書
ⅲ 御子のためにεἰς αὐτὸν
「天にあるものも地にあるものも/見えるものも見えないものも/王座も主権も/支配も権威も/万物は御子において造られたからです。/万物は御子によって、御子のために造られたのです(εἰς αὐτὸν ἔκτισται)。」 コロサイ1:16 聖書協会共同訳聖書
Ⅱ「ことばὁλόγος」を通して造られた。
「すべてのこと(もの)」は「ことば ὁλόγος」を通して造られた。「ことばὁλόγος」は天と地を創造し、これを「支え」(ヘブル1:3)、「成り立たせ」(コロサイ1:17)、「仕上げ」(イザヤ45:18)ておられる。「ことば ὁλόγος」は「すべてのもの(こと)」の根源である。
ⅰ 造りἐποίησεν
「また、御子を通して世界を造られました。δι᾽ οὖ καὶ ἐποίησεν τοὺς αἰῶνας·」 ヘブル1:2 聖書協会共同訳聖書
ⅱ 支えφέρων
「御子は神の栄光の輝きであり、神の本質の現れであって、万物をその力ある言葉によって支えておられます φέρων τε τὰ πάντα τῶ ῥήματι τῆς δυνάμεως αὐτοῦ。そして、罪の清めを成し遂げて、天の高い所におられる大いなる方の右の座に着かれました。」 ヘブル1:3 聖書協会共同訳聖書
ⅲ 成り立たせσυνέστηκεν
「御子は万物よりも先におられ/万物は御子にあって成り立っています τὰ πάντα ἐν αὐτῶ συνέστηκεν」 コロサイ1:17 聖書協会共同訳聖書
ⅳ 仕上げるποιήσας
「天を創造した方、すなわち神、地を形造り、これを仕上げた方 ποιήσας αὐτήν、すなわちこれを堅く立てた方これを茫漠としたものに創造せず、人の住みかにこれを形造った方、まことに、この【主】がこう仰せられる。
「わたしが主である。ほかにはいない。」 イザヤ45:18 新改訳聖書
Ⅲ 神はここから人に語りかけられる
「神である方、天を創造し、地を形づくり/造り上げて、固く据えられた方/混沌として創造されたのではなく/人の住む所として形づくられた方/主は、こう言われる。わたしが主、ほかにはいない。わたしは隠れた所で、地の闇の所で/語ったことはない。ヤコブの子孫に向かって/混沌の中にわたしを求めよ、と言ったことはない。わたしは主/正義を語り、公平を告知する者。」 イザヤ45:18,19 新共同訳聖書
「この終わりの時には、御子を通して私たちに語られました。神は、御子を万物の相続者と定め、また、御子を通して世界を造られました。」 ヘブル1:2 聖書協会共同訳聖書
「ことばὁλόγος」によて「天を創造し、地を形づくり/造り上げて、固く据えられ、人の住む所として形づくられた方 主」は「混沌と闇の神」ではない。創られ、固く据えられた「天と地」から人に「正義と公平」を語られる。「ことば ὁλόγος 御子」によって天と地を創造された神は「ことば ὁλόγος 御子」によって(「ことば ὁλόγος〔御子〕」を通して)人に語られる神である。
聖書ノート その2
「栄光と誉れと力」
「すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。」 ヨハネ1:3 口語訳聖書
関連聖書 黙示4:11 ヘブル3:3~4 マタイ21:42 Ⅰペテロ2:9
Ⅰ 栄光と誉れと力
「私たちの主、また神よ/あなたこそ/栄光と誉れと力を受けるにふさわしい方。/あなたは万物を造られ/万物はあなたの御心によって存在し/また造られたからです。」 黙示4:11 聖書協会共同訳聖書
「万物」は「ことば ὁλόγος」によって成った(ヨハネ1:3)。それは神の「御心によって存在し/また造られた ὅτι σὺ ἔκτισας τὰ πάντα, καὶ διὰ τὸ θέλημά σου」(黙示4:11 聖書協会共同訳聖書)。
「御心θέλημα」は「意志、思い、決意、熱望」の意で、万物は神が熱望され、強い意志によって創造された。神こそが、「栄光と誉れと力」を受けるにふさわしい。すべての被造物は、神の御心によって存在し、存在する自らにおいて、神に「栄光と誉れと力」を帰する。
Ⅱ 隅の親石
「家」よりも「家を建てた者」こそが、「栄光と誉れと力」を受ける。「万物を建てられた神」こそが栄光を受けるにふさわしい。
「家を建てた者が家そのものよりも尊ばれるように、イエスはモーセより大きな栄光を受けるにふさわしい者とされました。どんな家でも誰かが建てるものですが、万物を建てられたのは神なのです。」 ヘブル3:3-4 聖書協会共同訳聖書
しかし、神の「栄光と誉れと力」は「私たちの目には不思議」である。(マタイ21:42)
「イエスは言われた。「聖書にこう書いてあるのを、まだ読んだことがないのか。/『家を建てる者の捨てた石/これが隅の親石となった。/これは主がなさったことで/私たちの目には不思議なこと。』」聖書協会共同訳聖書 (マタイ21:42 詩篇118:22)
「家を建てる者(イスラエル)の捨てた石/これが隅の親石となった」。人々が捨てた「ことばὁλόγος」、すなわちイエス・キリストは、十字架と復活によって、「隅の親石」として、神の宮はこの上に建てられるのである。これは、私達には理解しがたい、驚くべき「不思議 θαυμαστός」である。
Ⅲ 驚くべき光の中へ
イエスによって現わされた「理解しがたい、驚くべき不思議θαυμαστός」は、闇の中にいる者を「驚くべき光の中へと招き入れてくださる」。それはまさに、「理解しがたい、驚くべき」内容をもって闇の中にいる人々を照らすまばゆい光となったのである。
「しかし、あなたがたは、選ばれた民、王の祭司、聖なる国民、神のものとなった民です。それは、あなたがたを闇の中から驚くべき光の中へと招き入れてくださった方の力ある顕現を、あなたがたが広く伝えるためです。」 Ⅰペテロ2:9 聖書協会共同訳聖書
「ひとりのみどりごがわれわれのために生れた、ひとりの男の子がわれわれに与えられた。まつりごとはその肩にあり、その名は、「霊妙なる議士、大能の神、とこしえの父、平和の君」ととなえられる。」 イザヤ9:6口語訳聖書
聖書ノート その3
「創造の継続と完成」
「すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。」 ヨハネ1:3 口語訳聖書
関連聖書 ヨハネ1:3 創世1:1 創世記5:1-2 詩篇33:6 詩篇102:25-28 ヨハネ1:10
Ⅰ 「ことばὁλόγος」による創造
神は「ことばὁλόγος」によって天と地を創造された。
「初めに神は天と地を創造された」 創世1:1 聖書協会共同訳聖書
「天は主の言葉によって/天の万象は主の口の息によって造られた。」 詩篇33:6 聖書協会共同訳聖書
天と天の万軍は主の口の息によって造られた。「天の万軍」は「夜空に煌めく無数の星は、主のために戦う兵士とみなされる」(フランシスコ会訳聖書 注釈)、「天の万象」の意味である。「天の無数の星」は天と地を守る「戦いに猛き兵士」である。
Ⅱ 神は「ことばὁλόγος」によって「人間」を造られた。
「アダムの系図は次のとおりである。神は人を創造された日、神の姿にこれを造られ、男と女に創造された。彼らが創造された日に、神は彼らを祝福して、人と名付けられた。」 創世記5:1-2 聖書協会共同訳聖書
「地を造り、その上に人間を創造したのは私だ。/私はその手で天を広げ/その万象に命じた。」 イザヤ45:12
聖書協会共同訳聖書
天と地とその万象を、「ことばὁλόγος」によって造られた神は、その御力によって、「地の塵」から人間を形造り、その鼻に「命の息」を吹き入れられ、人間は「生きる者」となった。(創世記2:8-9)
Ⅲ 変化する世界
[私は言う。/「わが神よ/生涯の半ばで私を取り去らないでください。/あなたの歳月は代々にわたります。
かつてあなたは地の基を据えられました。/天もあなたの手の業です。天地は滅びるが、あなたは立っておられます。/これらはすべて、衣のように朽ち果てます。/あなたが上着のように取り替えると/これらは消え去ってしまいます。しかし、あなたは変わることなく/あなたの歳月は終わることがありません。」詩篇102:25-28
聖書協会共同訳聖書
「イエスはお答えになった。『わたしの父は今もなお働いておられる。だから、わたしも働くのだ。』」ヨハネ5:17
聖書協会共同訳聖書
「ことばὁλόγος」によって造られた天と地は「変化する天と地」である。天と地とその万象は「すべて、衣のように朽ち果てる」。しかし、神の「ことば ὁλόγος」は天と地に立ち、その「歳月は代々にわたり」、神は天と地とその万象を、「上着のように新しく取り替えられる。神は「変わることなく」、神の「歳月は終わることがない。聖書は固定化された世界を認めない。あらゆる時代は変化し、人間は変化のなかに成熟する。
Ⅳ しかし、世はこのことを知らない
「言は自分のところへ来たが、民は言を受け入れなかった。」 ヨハネ1:10 聖書協会共同訳聖書
「ことばὁλόγος」は世に来た。人間は「神にかたどられて、神に似せて」造られ、(創世記1:26)、その鼻に「命の息」を吹き入れられ、人間は「生きる者」となった。(創世記2:8-9) 天と地とその万象は一刻も休むことなく変化し、「ことば ὁλόγος」による創造は継続されている。しかし、「この世」は「ことばὁλόγος」を受け入れなかった。
「受け入れるγινώσκω」は「知る、気づく、認める」の意味である。「ことばὁλόγος」の拒絶は、「生きる者」としての自己を否定することを意味し、創造的に変化する世界と自己との存在を否定するこどである。
聖書ノート その4
「隠された奧義」
「すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。」 ヨハネ1:3 口語訳聖書
関連聖書 ヨハネ1:3 エペソ3:9 Ⅰコリント8:6 エペソ3:12
Ⅰ 隠された奧義
「すべてのものを造られた神の内に永遠の昔から隠されていた秘義の計画がどのようなものであるかを、すべての人に明らかにするためです。」エペソ3:9 聖書協会共同訳聖書
「ことばὁλόγος」による神の創造は「神の内に永遠の昔から隠されていた秘義の計画」(エペソ3:9)であった。
神の内に「隠されていた秘儀」は、「ことばὁλόγος」によって「すべての人に明らかにされた」のである。「いのちと存在の奧義」は「ことばὁλόγος」によって「明らかにφωτίζω」される。「明らかにするφωτίζω」は、「光を当てる、照らす」で「隠れていたものに光を投げかけて明るみに出す」ことである。
Ⅱ すべてのことは神から来ている
「私たちには、唯一の父なる神がおられ/万物はこの神から出/私たちもこの神へと向かっています。/また、唯一の主、イエス・キリストがおられ/万物はこの主によって存在し/私たちもこの主によって存在しています。」Ⅰコリント8:6聖書協会共同訳聖書
「万物」はその源である唯一の神から出た。(Ⅰコリント8:6)人間は「神にむかって」存在し、神の「ことば ὁλόγος」によって存在に至る。あらゆるものと現象は、「ことばὁλόγος」によって存在となる。
Ⅲ 神に近づく
「キリストにあって、私たちは、キリストの真実により、確信をもって、堂々と神に近づくことができます。」エペソ3:12 聖書協会共同訳聖書
神の内に隠され、「ことばὁλόγος」によって「すべての人に明らかにされた奧義」とは、「ことばὁλόγος」に結ばれ、「ことばὁλόγος」を信じることによって、「臆することなく、確信をもって、大胆に神に近づく」ことが許されたことである。(エペソ3:9)
「神に近づくπροσαγωγή」は、「προσαγω~へ導いて行く、~の所へ連れて行く」から来ている。それは人間による行為ではなく、「ことばὁλόγος」が、「神のところに連れて行く」ことにより、人は「確信をもって神に近づく」のである。
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