心のデボーション3531
「愚なる者の口はおのれの敗壞となり その口唇はおのれの霊魂の罟となる」 箴言18:7 明治元訳聖書
「愚かな者の口は自分の滅びとなり、そのくちびるは自分を捕えるわなとなる。」 口語訳聖書
「魂の破滅」
「そのくちびるは自分を捕えるわなとなる」(箴言18:7) 愚かな者のことばは「自分を捕えるわな」となる。自分で仕掛けた罠に陥ってはじめて自分の愚かを知るのである。LXXはτὰ δὲ χείλη αὐτοῦ παγὶς τῇ ψυχῇ αὐτοῦ
「その唇は自分の魂(τῇ ψυχῇ αὐτοῦ)を破滅に陥れる(παγὶς)」と訳す。
(心のデボーション3531)
心のデボーション3532
「汝の少(わか)き日に汝の造主を記えよ 即ち惡き日の來り年のよりて我は早何も樂むところ無しと言にいたらざる先」 伝道12:1 明治元訳聖書
「あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、「わたしにはなんの楽しみもない」と言うようにならない前に、」 口語訳聖書
「信の未熟」
「若い日ἐν ἡμέραις νεότητός σου」は未熟な日でもある。自分が浅くしか知らないことすらわからないままに、かたく信じようとする。しかし、その信があればこそ、年老いてなお深くに導かれる。未熟でも「若い日」を大切にすべきである。ある日、神を信じた。その未熟さが老いの未熟を救ってくれる。信の未熟を受け入れ、生きること、それが信の成熟である。それ一つを知るために、老いる必要があったのである。(伝道12:1)
(心のデボーション3532)
心のデボーション3533
「われら強き者はおのれを喜ばせずして、力なき者の弱を負ふべし」 ロマ15:1 大正文語訳聖書
「わたしたち強い者は、強くない者たちの弱さをになうべきであって、自分だけを喜ばせることをしてはならない。」 口語訳聖書
「弱さを担う」
「力なき者の弱を負ふτὰ ἀσθενήματα τῶν ἀδυνάτων βαστάζειν」(ロマ15:1 大正文語訳聖書)は「力なき者τῶν ἀδυνάτων(できない者、自らの力では為し得ない者)」の「弱さἀσθένημα(無力、弱さ)」を「担うβαστάζω(抱える、担う)」である。(ロマ15:1)
(心のデボーション3533)
心のデボーション3534
「汝は生命の道を我に示し給へり、 御顏の前にて我に勸喜を滿し給はん」 使徒2:28 大正文語訳聖書
「あなたは、いのちの道をわたしに示し、み前にあって、わたしを喜びで満たして下さるであろう」 口語訳聖書
「いのちの道」
人生を面白く生きることができないのは、興味のあることが見つからないというよりも、自分という存在に興味を持てないからではないだろうか。自分への無関心が人生をつまらなくする。自分を喜ぶとは自分であるところのものになることへの喜びである。自分への興味を強めたら自分本位にならないかと心配する必要はない。自分というものに注目すると、他人の面白さもわかってくるからである。「いのちの道」を知る面白さである。
(心のデボーション3534)
心のデボーション3535
「之を播きし仇は惡魔なり、收穫は世の終なり、刈る者は御使たちなり。」 マタイ13:39 大正文語訳聖書
「それをまいた敵は悪魔である。収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使たちである。」 口語訳聖書
「毒麦の収穫」
悪魔は「この世界」に「毒麦の種」を蒔く。毒麦の種は発芽し実をつけるが、それを刈り取る(θεριστής)のは悪魔ではなく御使いたちである。悪魔はことを始めるが、決してその目論見が完了する(実を収穫する)ことはない。ことを初め、ことを終わらせるのは神である。(マタイ13:39)
(心のデボーション3535)
心のデボーション3536
「陰府のごとく彼等を活たるままにて呑み 壯健なる者を墳に下る者のごとくになさん」 箴言1:12 明治元訳聖書
「陰府のように、彼らを生きたままで、のみ尽し、健やかな者を、墓に下る者のようにしよう。」 口語訳聖書
「悪しき者」
悪しき者(ἀσεβής 箴言1:10「不敬虔な者」)は人に危害を加えて殺害したりはしない。むしろ「彼らを生きたままで、のみ尽し、健やかな者を、墓に下る者のように」する。弱き者を生かしたままで呑みこみ、いのちを貪る。最悪の悪は宗教がかくふるまうことである。(箴言1:12)
(心のデボーション3536)
心のデボーション3537
「かれらの面色はその惡きことの證をなし ソドムのごとくその罪をあらはして隱すことをせざるなり かれらの靈魂はわざはひなるかな自らその惡の報をとれり」 イザヤ3:9 明治元訳聖書
「彼らの不公平は彼らにむかって不利なあかしをし、ソドムのようにその罪をあらわして隠さない。わざわいなるかな、彼らはみずから悪の報いをうけた。」 口語訳聖書
「悪の報い」
自分に不都合なことが起こると、罪が原因でその報いではないかと考えてしまうことがある。あまりにその考えが強いと、自分を罪人にするだけでは止められず、遠い先祖にまでさかのぼって、禍いの原因を追求し、それで納得したくなる。確かに、罪が原因となって禍いが引き出されることはある。しかし、すべての禍いの原因が罪とは限らない。罪や悪とは無関係にはじまる禍いもあり、その方がよほど多い。
(心のデボーション3537)
心のデボーション3538
「ヱホバは磐にましましてその御行爲は完くその道はみな正しまた眞實ある神にましまして惡きところ無し只正くして直くいます」 申命32:4 明治元訳聖書
「主は岩であって、そのみわざは全く、その道はみな正しい。主は真実なる神であって、偽りなく、義であって、正である。」 口語訳聖書
「隱れたる思想」
「己を高しとすな、倒れて自ら恥を受けざらんためなり。主汝の隱れたる思想を明にし、汝を集會の中央に倒し給はん。そは汝主を畏れず、汝の心虚僞にて充ちたればなり。」 旧約聖書外典ベン=シラの知恵1:30 聖公会訳聖書 人には「隱れたる思想」がある。聖書協会共同訳聖書は「主は、お前の正体を明らかにし」と訳す。「隱れたる思想」とは「隠された正体」を形作るものである。これを知らずして真実はない。
(心のデボーション3538)
心のデボーション3539
「汝らは世の光なり。山の上にある町は隱るることなし」 マタイ5:14 大正文語訳聖書
「あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない」 新共同訳聖書
「あるがまま」
「光φῶς」はあるがままにものを照らす力である。「光φῶς」のなかで、人はあるがままにものを見て、それに従う力が与えられる。(マタイ5:14)
(心のデボーション3539)
心のデボーション3540
「汝わが靈魂を黄泉に棄て置かず、 汝の聖者の朽果つることを許し給はざればなり」 使徒2:27 大正文語訳聖書
「あなたは、わたしの魂を黄泉に捨ておくことをせず、/あなたの聖者が朽ち果てるのを、お許しにならない/であろう。」 口語訳聖書
「わたしの魂」
神は聖徒の魂(ψυχή)を「黄泉に捨ておき(ἐγκαταλείπω「見捨てる、見放し、裏切り」)給わない。(使徒2:27)「わたしはあなたがたを捨てて孤児とはしない。あなたがたのところに帰って来る。οὐκ ἀφήσω ὑμᾶς ὀρφανούς, ἔρχομαι πρὸς ὑμᾶς.」(ヨハネ14:18)
(心のデボーション3560)
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